四国 四国

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小豆島そうめん 香川

小豆島そうめん
写真提供:香川県物産協会

オリーブやしょうゆの産地として知られる小豆島は、温暖で雨が少なく、昔から小麦の栽培に適した土地でした。「三輪そうめん」(奈良)、「播州そうめん」(兵庫)と並ぶ、日本三大手延べそうめんの一つ「小豆島そうめん」が生まれたのは、この地に良質な小麦、塩がよくとれたからです。小豆島にそうめんの製法が伝わったのは、今からおよそ400年前の慶長3年のこと。小豆島の池田町の人がお伊勢参りの帰りに三輪に立ち寄り、三輪のそうめん作りの技術を持ち帰り、それが広まったとされています。小麦粉と塩水2日がかりで手延べするのは三輪そうめんと同様ですが、小豆島そうめんが特徴的なのは、麺の乾燥と付着を防ぐために、小豆島特産のごま油を使用するという点です(普通は綿実油を使用します)。これにより、独特の風味と味がそうめんに与えられます。また、ごま油は酸化しにくいため、品質を保つのにも役立っています。

たらいうどん 徳島

たらいうどん
写真提供:徳島県東京事務所

江戸時代後期、今の徳島県板野郡土成町あたりの木こりが、谷川にかまどを作り、釜でうどんをゆであげ、そのまま木の枝の箸で食べたのが起源という「たらいうどん」。大勢で釜をつつく、その様子から「釜抜き千本」との別名ももった、豪放なうどん料理です。今は「たらいうどん」と姿を変えましたが、その野趣は今も受け継がれ、宮川内谷川沿いでは、河原でうどんを食べさせてくれるところもあります。
やまいもを練り込んだ、噛み応えのある太い麺を大きなたらいに浮かべ、大勢でつつくようにして食べるのが楽しいたらいうどんは、川でとれるジンゾク(ハゼ科のゴリ)でだしをとった淡泊なつけつゆが美味しく、夏は渓谷の景観も美しく、思わず食が進みます。
昭和6年、当時の県知事が当地を訪れて「たらいうどん」を食べ、絶賛したことから、「御所のたらいうどん」とも呼ばれるようになったそうです。

半田そうめん 徳島

半田そうめん
写真提供:徳島県観光協会

徳島県美馬郡半田町に伝わる伝統的なそうめんに「半田そうめん」があります。吉野川流域で活躍していた船頭によって、播州(兵庫県)より製法が伝えられたと言い、その歴史はおよそ250年にも及びます。当初は船乗りたちの間で製法が広まったようですが、冬場に雨が少なく乾燥した気候、吉野川の清流、良質の小麦の産地であったことなど、半田の地がそうめん作りに適していたおかげで、四国でも有数のそうめんの産地となりました。
「半田そうめん音頭」に「コシの強さにノドが鳴る」と歌い込まれているとおり、「半田そうめん」の特徴と言えば、そのコシ。麺線は太く、甘味があると定評があります。

讃岐うどん 香川

讃岐うどん
写真提供:香川県物産協会

「讃岐うどん」の特徴は、しなやかで弾力があり、強力なコシをもつ手打ち麺。小麦粉と塩水をこねて生地がまとまったら一度熟成させ、曽於の後、足踏みを繰り返して生地を鍛え、コシのある麺に仕上げていきます。そのコシを楽しむために、讃岐うどんは「かけ」や「ぶっかけ」「釜揚げ」など、シンプルなメニューに人気があります。

タルト 松山

タルト
写真提供:松山観光コンベンション協会

「タルト」といえば、フルーツたっぷりの洋菓子を思い浮かべますが、愛媛県松山市に伝わる銘菓の「タルト」は、その洋菓子とはまるで異なります。江戸時代前期、寛永12(1635)年に、松山藩主の松平定行が長崎の出島におもむき、ポルトガル人よりその製法を習得。それを和風化し、松平家に伝え継いだのが、松山のタルトの起源というので、非常に古い歴史があります。
松山のタルトは、小麦粉に砂糖と卵を加えて焼きあげたカステラ生地にあんこを塗り、「の」の字に丸めて作るので、「タルト」というよりは、むしろ「ロールケーキ」のような感じです。伝承時はあんこではなく、ジャムだったそうですが、あんこで和風テイストにしたのは松平定行のアイデアだったと言われています。タルトのあんこの定番は、伊予特産の柚子を混ぜ込んだこしあん。口いっぱいに広がる柚子の風味がさわやかで、お茶にもコーヒーにもよく合う人気の郷土銘菓です。

鍋焼きラーメン 須崎

鍋焼きラーメン
写真提供:須崎市産業課

高知県須崎市の名物「鍋焼きラーメン」の発祥は意外と古く、戦後まもなくのことだと言います。食糧難の時代、須崎の路地裏に開店した食堂が周辺で調達できる食材として、ちくわや鶏をラーメンに入れることを思い立ったそうです。出前をするにあたっては、ラーメンが冷めないようにホーロー鍋を使用しました。この主人の心遣いが、現在の土鍋を使用する鍋焼きラーメンの元になったということです。
鍋焼きラーメンの麺はのびにくいように固めのストレートで、スープはさっぱりしていながらコクがある鶏がらベースのしょうゆ味で、具はねぎ、生卵、ちくわの薄切り。お肉が入る場合はチャーシューではなく、鶏肉で、ほとんどのお店でたくわん(酸味のある古漬け)がつき、ぐつぐつと煮立った鍋で提供されます。

「ご当地粉料理」は、『小麦粉料理探求事典』(岡田哲 編/東京堂出版)、『日本の味探求事典』(同)などの書籍、官公庁や地域情報などの各種ホームページ、地域住民の方への聞きこみ、弊社資料などによりまとめました。