小麦・小麦粉の
価格のしくみ
食卓に届くまでのバリューチェーン
バリューチェーン
日本で消費されている小麦粉の約9割は外国産の小麦から作られています。
輸入小麦は日本政府が買い付け、国内の製粉会社に売り渡すしくみがとられています。
製粉会社に売り渡された小麦は小麦粉に加工され、主にパン・麺・菓子などの小麦粉を使用した製品を製造する食品メーカーに卸されます。そして、それらの食品メーカーで製造された製品はスーパーなどの小売業者を通じて、みなさんの食卓に届けられます。
製粉会社と食品メーカー
小麦はとても固い表皮に被われていて、そのままでは食べることができません。その小麦を小麦粉に加工する役割を製粉会社が担っており、日清製粉では、品質管理やトレーサビリティの徹底により、安全で安心な小麦粉の製造に取り組んでいます。また、その小麦粉をパン・麺・菓子に加工する食品メーカーもみなさんの食生活に欠かせない存在であり、日清製粉ウェルナは、そうした食品メーカーのひとつとして、パスタをはじめ、から揚げ粉や天ぷら粉、お好み焼粉やホットケーキミックスなどみなさんの食卓を彩る製品を開発・製造しています。
小麦の輸入と備蓄
日本が一番多く輸入している国
輸入小麦と国産小麦の割合
日本が最も小麦を輸入している国はアメリカで、輸入量の約48%を占めます。2番目はカナダで輸入量の約35%、3番目がオーストラリアで約16%です。
日本で食べられている小麦粉は約9割が海外から輸入した小麦で作られており、日本は世界でも有数の小麦輸入国です。
相手先国別の食糧用小麦輸入量
1位 | アメリカ合衆国 | 227万トン(48%) |
2位 | カナダ | 166万トン(35%) |
3位 | オーストラリア | 77万トン(16%) |
合計 | 4,704,600トン |
出典:農林水産省「令和6年度 麦の需給に関する見通し」
(平成30年~令和4年の平均)
輸入小麦は日本政府が買い付け
日本に輸入される小麦の大部分は国が輸入しています。外国から日本までは2万~6万トン級の大型船で運ばれ、海を渡って小麦がやって来ます。
日本で使用される主要な小麦である以下の5銘柄は、国がまとめて輸入し、日本に着いた後に製粉会社に売り渡されます。
国 | 小麦の銘柄 |
---|---|
アメリカ合衆国 | ・ウェスタン・ホワイト ・ハード・レッド・ウィンター ・(ダーク)ノーザン・スプリング |
カナダ | ・ウェスタン・レッド・スプリング |
オーストラリア | ・スタンダード・ホワイト |
輸入小麦は一定期間備蓄
輸入された小麦がすぐに加工されて小麦粉になるわけではありません。
小麦は主要食糧であることから、国家貿易制度のもとで製粉会社が2.3ヶ月分の小麦を備蓄しています。
2010年9月までは国が1.8ヶ月分、製粉会社等の民間が0.5ヶ月分の備蓄をしていましたが、2010年10月より民間備蓄に一本化されたため、製粉会社は2.3ヶ月分の小麦を備蓄しています。
価格が変わるしくみ
価格に影響を与える要因
輸入小麦を買い付ける日本政府が、製粉会社に売り渡す小麦の価格を決めていますが、常に一定の価格というわけではありません。
2007年4月より、輸入小麦の売渡価格については、年間を通じて固定的な価格で売り渡される「標準売渡価格制度」が廃止され、新たに、小麦の国際相場等の動向を、輸入小麦や小麦粉及び小麦粉を使用した製品の国内価格に、適切かつ迅速に反映されること等を目的として「相場連動制」が導入されました。
この制度は、過去の一定期間における政府買入価格の平均値に、年間固定のマークアップ(売買差益)を加える仕組みとなっており、1年間固定であった小麦の売渡価格が、年2回改定されるとともに、小麦の国際相場や為替相場等の影響が自動的に小麦の売渡価格に反映されるようになりました。
最近では2024年10月期の輸入小麦の政府売渡価格について、主要銘柄平均で1.8%の引き下げが発表されました。為替は円安で推移したものの、米国産小麦の良好な生育状況を踏まえ、穀物相場が下落したこと等により、上記の改定となりました。
・輸入小麦の政府売渡価格の改定について(2024年9月11日付農林水産省ホームページより)
これを受けて日清製粉でも業務用小麦粉の価格改定を行うこととしました。
小麦そのものの相場や、それらを取り巻く様々な環境が価格に影響し、みなさんが購入する小麦粉や小麦粉を使用した製品の価格も変わることがあるのです。
・日清製粉 小麦粉価格改定のお知らせ(2024年10月11日付)
政府が輸入小麦の価格を決めるしくみ
日本ではほとんどの小麦を国が輸入して製粉会社に売っていますが、その価格は過去に国が買い付けした価格の平均で決まることになっています。
日本で主に使われる小麦(主要5銘柄)については、国が輸入し製粉会社に売り渡しますが、価格は半年に1回しか変わりません。過去6ヶ月間に国が購入した価格の平均に、港湾諸経費を加え、売買差益であるマークアップを上乗せした金額で、製粉会社へ販売される小麦の価格が決まります。
輸入小麦の価格にはシカゴ相場が影響
シカゴ相場とは、アメリカで最も取引量の多い商品取引所で形成される農産物の取引価格のことです。
穀物では特に、とうもろこし、大豆、小麦が国際的な指標になっています。
円高や円安は輸入小麦にも影響
小麦は輸入品なので、仮に小麦の相場が同じ価格だとすると、円高になれば輸入価格は安くなりますし、円安になれば輸入価格は高くなります。
日本の輸入小麦の売渡価格は、過去の買入れ価格の平均をもとに決定されますので、例えば4月~6月に円安になり輸入価格が高くなったとすると、この影響は次の10月の政府売渡価格の改定時に反映されることとなります。
価格が変わるタイミング
輸入小麦の価格の見直しは1年に2回
※4月改定の場合、前年9月中旬~当年3月上旬の6ヶ月が算定期間。
※10月改定の場合、当年3月中旬~同年9月上旬の6ヶ月が算定期間。
日本では輸入小麦の政府売渡価格は4月、10月の年2回改定されます。
価格改定に際しては対象となる算定期間(※)の小麦の国際相場や海上運賃等を踏まえて、政府が改定額を決定しています。また、小麦は主要食糧であることから、国家貿易制度のもとで、主要生産国における不作などの不測の事態に備え、製粉会社は2.3ヶ月分の小麦を備蓄することになっています。そのため、小麦の政府売渡価格は4月・10月に変わりますが、小麦粉の価格が変わるのはもう少し先になります。
※4月改定の場合、前年9月中旬~当年3月上旬の6ヶ月が算定期間。
※10月改定の場合、当年3月中旬~同年9月上旬の6ヶ月が算定期間。