水溶化キューテン

パイオニアならではの弛まぬ進化を

世界で初めてコエンザイムQ10
量産化に成功

酵素が体内で働くのを助ける「補酵素」。その一種であるコエンザイムQ10は、もともと体内で生合成されますが、その生合成能力は20歳前後をピークに減少します。コエンザイムQ10が不足すると体内の抗酸化力やエネルギー産生能力が低下するとされており、食事やサプリメントで補う必要があります。

1967年、そのコエンザイムQ10の量産化に世界で初めて成功したのが、日清ファルマ(旧・日清製粉医薬部門)でした。ビタミンB1を発見した鈴木梅太郎博士と共同で取り組んできたビタミン研究の知見を基盤に、ビタミンEや、ビタミンK1とコエンザイムQ10の化学構造が部分的に似ていることから量産化に挑戦。約10年の年月を費やし、量産化製法の開発に成功しました。

開発当時は、ユビデカレノンという名称で医薬品として用いられました。ユビデカレノンを主成分とする心臓薬は国内の医療現場で役立てられ、多くの人たちに貢献しました。また、2001年4月の食薬区分の法改正により、食品素材としてコエンザイムQ10の使用が認められたことを機に、健康・美容等の分野で商品化が進み、その用途は大きく広がっています。

研究シーン

特許技術の「水溶化コエンザイムQ10」で吸収性アップ

コエンザイムQ10は、油に溶けやすく水に溶けにくい性質を持っています。そのため、食事と一緒に摂取しないと体内に吸収されにくいという課題があります。そこで日清ファルマは、空腹時をはじめ、いつ飲んでも体内に吸収されやすいよう、「水溶化」の研究を進めました。数年に及ぶ技術開発の結果、ナノ化技術を用いた超微粒子加工により水溶化を実現し、コエンザイムQ10原末のソフトカプセルに比べ約3倍の吸収を可能にしました。

水溶化に成功した2002年以降、粉末・飲料等のさまざまな形態で商品展開してきましたが、タブレットタイプの商品化にあたっては、いくつかの壁がありました。まず、飲みやすいタブレットをつくるには、体の中でしっかり溶けるようにしつつ、小型化しなければなりません。そのため、複数の素材をさまざまな量・割合で配合して試作検討を重ねました。

また、量産への移行にあたっては、実機での試作を生産技術、品質保証等の面から多角的に検証し、製造時にトラブルが起きないようあらゆる問題点を解消しました。コエンザイムQ10のパイオニアならではの経験はもちろん、化学や工学に関する知識・技術を幅広く保有する日清製粉グループだからこそ、実現できた商品だといえます。

水溶化コエンザイムQ10の特長

水溶化コエンザイムQ<sub>10</sub>の特長

2020年3月、環境に配慮したアルミ袋包装を採用した「水溶化キューテン」が発売されました。従来の商品はボトル入りでしたが、マーケティング部門と連携し、省資源かつ輸送しやすいパッケージにリニューアルしました。これからも、多様な視点での改良を目指し、グループ社内外のエビデンスや情報網を最大限活用しながら、お客様一人ひとりの健康維持に役立つ商品を提供できるよう、日々の研究開発に取り組んでいきたいです。

日清ファルマ株式会社
健康科学研究所牧田 美希※ 所属は取材当時

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