ビフィコロンS

差別化技術の追求が新たな強みに

ビフィコロンの機能性向上と
拡販を目指しリニューアル

「ビフィコロン」の開発当時、善玉菌(プロバイオティクス)が大腸の環境を整えるために重要だという認識が広まっていました。しかし、善玉菌の代表格であるビフィズス菌は胃酸や胆汁酸に弱く、食品で摂取しても大腸に届くまでに大半が死滅してしまいます。

そこで日清ファルマは、長年にわたって医薬品の原薬分野で培った経験に基づく素材・機能性研究と製剤技術を組み合わせ、ビフィズス菌を生きたまま大腸に届ける独自の特許技術「大腸デリバリーカプセル」を開発。この技術を活用した「ビフィコロン」を2012年に発売しました。小型カプセルで飲みやすく、1日1カプセル(目安)でビフィズス菌を補給できる点等がお客様から支持され、累計150万個を突破しています。

一方で、健康志向の高まりを受けて機能性表示食品の市場は拡大し、競合商品も増え続けています。こうしたなか日清ファルマは、更なる機能性向上と拡販に向けて「ビフィコロン」のリニューアルに着手。「ビフィコロンS」として2019年に発売しました。1カプセルあたりのビフィズス菌数は、従来の50億個から55億個になりました。

ビフィズス菌とは?

ビフィズス菌は、悪玉菌の繁殖を防ぎ大腸の環境を整える重要な善玉菌ですが、年齢を重ねることで減少します。生後1週間頃の母乳を飲んでいる赤ちゃんの大腸内は95%以上がビフィズス菌で占められています。しかし、成人する頃には10~20%となり、高齢者ではわずか1%未満になる人もいます。そのため、「ビフィコロンS」のようなサプリメントなどで補う必要があるのです。

特許技術の大腸デリバリーカプセルで
大腸まで届ける

研究シーン

「大腸デリバリーカプセル」の特徴は、胃酸から守る第1ガード層と、小腸の胆汁から守る第2ガード層がある点です。2つのガード層は、カプセルの基材をコーティングして形成しますが、大腸までカプセルを届けるには、コーティング液の素材や配合量に加え、層の厚さも検討しなければなりません。また、コーティング液にも水が含まれているため、カプセル内のビフィズス菌が水分を吸って死滅することのないよう、製造工程の工夫も必要です。さらに2019年のリニューアルでは、差別化技術の強化に向けてビフィズス菌保護成分を追加するため、約80通りの比較評価を行って新配合を実現しました。

このように素材・製法を開発しても、それで終わりではありません。日清ファルマの研究員は製造現場と協力し、歩留まりも見据えて細かい製造条件を設定し、グループ独自の厳しい品質基準をクリアしたうえで、ようやく安全な商品として世の中に送り出せるのです。

特許技術の大腸デリバリーカプセル

特許技術の大腸デリバリーカプセル

より多くの方に適用する
商品を追求する

現在は、「ビフィコロンS」の可能性をさらに広げるため、マーケティング部門と連携し、お客様の声や市場動向を共有しながら体感向上や形態改善に取り組んでいます。例えば、お客様のなかにはカプセルが溶けづらい体質の方もいるため、細かい配合を設計し直すことで、より多くの方に適用できるのではないかといった検討を進めています。

また、「こういう悩みを抱えた方にこういう効果がある」など、より具体的に機能性を訴求できるよう、データ収集にも力を入れています。独自のエビデンスで新たな機能性が明確になれば、更なる差別化にもつながります。今後も、より多くのお客様に満足いただける商品開発を追求し続けていきます。

実は、腸には明らかになっていない部分も多く、研究の余地がある奥の深い世界だと実感しています。また、免疫に関する領域や薬で治療できない未病の研究にも興味があります。これらの専門知識をさらに深めるべく、セミナーや学会で情報収集するほか、博士号の取得を目指し、大学院に通っています。今後、健康食品が求められる市場はまだまだ新規開拓できると思っていますので、果敢に挑戦していきたいです。

日清ファルマ株式会社
健康科学研究所中山 優也※ 所属は取材当時

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