ティーサンドイッチってご存知ですか?紅茶味のサンドイッチではありません。そう、紅茶と一緒にいただく…アフタヌーンティーに欠かせない、一口サイズの上品なサンドイッチのことです。
アフタヌーンティーとは1930年頃のイギリスで始められた習慣で、ヴィクトリア時代の上流階級の女性達の社交の場として広まったと言われています。
この頃の上流階級は夕食の時間が遅かったので、それまでの空腹を満たす意味合いもあり、アフタヌーンティーに添えられるようになったとか。
パンは薄ければ薄いほど上品とされ、また、ひと口でいただける小さなサイズも、きれいなドレスを着た上流階級の女性が食べていたと考えると納得がいきますね。
上品すぎて物足りない?いえいえ、このサンドイッチだからこその絶妙なバランスがあるのです。
まずは、一番シンプルで、一番奥の深い、キューカンバーサンドイッチを作っていきましょう。
キューカンバーサンドイッチと書くと、イギリスっぽいですが、要はきゅうりだけのサンドイッチです。今の日本では、お漬け物にも欠かせない庶民的な野菜ですが、19世紀中頃のイギリスでは高級食材だったそうです!なので、きゅうりのサンドイッチを作る時にはヴィクトリア時代の気分で、そんな“きゅうり様”を丁寧に扱っていきましょう。
まずは丁寧に洗い、両端を切り落とし、半分に切ります。
スライサーを使って2㎜の厚さにスライスします。スライサーを使うときは、手を切らないように十分に注意してくださいね。包丁さばきに自信がある方は、もちろん手で切っていただいてもかまいません。
スライスしたきゅうりはバットに入れ、塩と白こしょうをふり、手で軽く混ぜ合わせます。さらに白ワインビネガーをふりかけて、15分程なじませます。こうすることで、ほどよく下味がつき、味がぐっと引き締まります。
薄くスライスする時の秘密兵器はスライサー!ナガタが愛用しているのは「ベンリナー」というレトロなスライサーです。50年の歴史があるそうで、シンプルな作りですが、厚さが調整できるのでとても便利。たくさんの量を均一に素早く切りたい時に大活躍です。実は、フランスの星付きレストランの厨房でも使われているんですよ。
きゅうりをはさむ前に、まずパンにバターを塗りましょう。バターを塗る理由は、以前お話しましたね。ティーサンドは、パンと単一の食材のシンプルな組み合わせなので、バターの存在がとても大きいのです。パンに塗るバターの量も、他のサンドイッチに比べると多めです。
ポマード状のバターを、パンの表面に均一にしっかりと塗ります。だいたい、食パン1枚に対して4gを目安として、あとはお好みで調整してみてください。
きゅうりをはさみます。シンプルなサンドイッチだからこそ、断面を美しく見せたいもの。その為には、まず、まな板にペーパータオルを敷き、その上にきゅうりを並べます。縦向きで、パンの幅にちょうど収まるよう、均一にずらしながら並べましょう。1組にきゅうり1/2本分くらいが上品でしょうか。私は1本分はさむこともあります。
上からペーパータオルで余分な水分を押さえ、並べたままパンにのせます。きゅうりにしっかりと塩味がついているようなら、白こしょうだけふりかけ、味が薄いようだったら、塩を少々ふりかけてもOKです。
もう1枚のパンではさんだら、カットします。サンドイッチを切る時に大切なのは「食材の向き」です。きれいな断面が出る向きと、そうでない向きがあります。まずは耳を切り落とし、この向きを間違えないよう、丁寧に切り分けたらできあがりです。
きゅうりだけのサンドイッチも、こうして見ると本当に奥が深いですね。シンプルだからこそ、おいしいパンとこだわりのバター、新鮮なきゅうりを使って、丁寧に仕上げてみてください。
このシンプルさこそ、大人のサンドイッチと言えるかもしれません!ビネガーや塩の種類にこだわれば、おもてなしにも喜ばれますよ。
次回は、「ハムだけのティーサンドイッチ」をご紹介します。