お昼にバゲットを食べるなら、サンドイッチがいいですね。
フランスで最もベーシックなサンドイッチは、バゲットにたっぷりとバターを塗り、ハムだけをはさんだ「ジャンボン・ブール(Jambon beurre)」です。ジャンボンは、フランス語でハムのこと。ブールはバター。フランスでは一番人気のサンドイッチ※で、日本で言うなら梅干しのおにぎりのような存在でしょうか。食材を最小限にしつつ、バゲットのおいしさを最大限に引き出す、サンドイッチの原点とも言える組み合わせです。
ジャンボン・ブールという呼び名からも、このサンドイッチの大切な要素が伝わってきます。“バゲットのハムサンド”ではなく、“ハム”と“バター”が同列で扱われているのがポイントです。そう、バターも絶対に欠かすことができない食材なのです。
食パンのサンドイッチにバターを使う場合は、パンに食材の水分が移行するのを防ぐことや、パンと食材をくっつける接着剤としての役割が重要です。でも、バゲットにハムをはさむ時は単純に、おいしさの為にバターを合わせます。なぜならバゲットは、小麦粉と塩と水と酵母で作るシンプルなパンであり、そのまま単体でむしゃむしゃ食べるパンではありません。朝のバゲットでお話ししたタルティーヌでは、何かを塗る。昼のバゲット(サンドイッチ)では、塗ってからはさむ。どちらも“塗るもの”が必須です。
お気に入りのバゲットを選ぶように、上質なハムを選ぶように、バターにもこだわって、世界一簡単でありながらも世界一おいしいサンドイッチを作ってみましょう。
※ハンバーガーもサンドイッチの1種と考えると、近年はハンバーガーに超されてしまったそうです。そんな話題がニュースになるというのも、フランスらしいエピソードです。