暑い国で生まれた、肉と野菜を楽しむパン

夏真っ盛りにおすすめのサンドイッチと言えば、なんといってもバインミーです!歯切れのいいフランスパンに、たっぷり野菜とハムにパテ。 じわじわと人気が広がるパクチーをたっぷりはさむのも好きな人にはたまりませんね。
数年前から人気が広がっている野菜たっぷりボリューミーな“萌え断”系と比べると、バインミーはパンもしっかり味わえるのが魅力です。

「バインミー bánh mì」とはベトナム語でパンの総称で、一般的にはバゲットタイプのプレーンなパンを指します。
このパンに肉と野菜をたっぷりを挟んだサンドイッチが「バインミー・ティット bánh mì thịt」。ティットとは肉のことで、直訳すると“パンと肉”。 単純すぎるような名称な気もしますが、フランスの定番サンド「ジャンボン・ブール jambon beurre」はハムバター。 このハムバターをベトナム式に変換したのが、バインミー・ティットだと考えると納得です。 バインミー・ティットを略して、サンドイッチそのもののこともバインミーと呼ばれることが多いので、バインミー=ベトナムのサンドイッチとして知られるようになりました。

フランスをルーツとしたベトナムのパン文化

ベトナムのパン食は、約100年に及ぶフランス統治時代にフランス人がもたらしたもので、そもそもは米食文化です。 ベトナムの米は種類も豊富。日本のように普通に炊いておかずと一緒にいただいたり、チャーハン、おこわ、お粥の他、麺やライスペーパーに加工され、色々なスタイルで食べられています。 ベトナムの食の傾向としては中国の影響が強く、フランスから伝わって定着したのはフランスパン、コーヒー、プリン等の一部だそうです。

ベトナムのフランスパンは、フランスのバゲットと比べるとびっくりするほど軽やか。 クラストは薄くて歯切れがよく、クラムはお麩のように口の中で溶けてしまうような感覚です。 うだるような暑さの中、現地で食べるととても美味しく感じられます。フランスから伝わったパン。しかしこれはベトナムだからこそのパンなのです。

パンに挟むのはレバーペースト、ハム類、なます、キュウリの組み合わせが定番で、パクチー等の香味野菜でアクセントを付けます。生野菜と肉類がバランスよく組み合わされているのもいいですね。 ベトナム南部のホーチミンは年間を通じて蒸し暑い日が続きます。そんな気候の中で庶民に愛され日常的に食べられているバインミーは、日本の夏にもぴったりです。

ハムとレバーパテのバインミー

材料(1人分)
フィセル (ソフトフランス等でも)
1/2本
マヨネーズ
小さじ2
レバーペースト
大さじ1
グリーンリーフ
6g
サニーレタス
6g
キュウリ(スライス)
12g
にんじんと大根のなます※
25g
ハム
20g
パクチー
適量
ピーナッツ
小さじ1
スイートチリソース
大さじ1
※【にんじんと大根のなます】(作りやすい分量)
  1. 大根4㎝分の皮をむき、繊維に沿って縦に薄切りにする。さらに7㎜程度の幅に切る。にんじん4㎝分も同様に切る。大根とにんじんに塩小さじ1/2を揉み込んで5分ほど置き、軽く絞る。米酢大さじ3に砂糖大さじ2を混ぜ合わせてから大根とにんじんを合わせて揉み込む。
作り方
  • キュウリは縦方向に5㎜程度の厚さにスライスする。
    フィセルはクラストがパリッとする程度に軽くトーストし、横から切り込みを入れる。カット面の下側にマヨネーズ小さじ1を、上側にレバーペーストを塗る。
  • グリーンリーフとサニーレタスを挟み、マヨネーズ小さじ1/2を塗り、さらにキュウリ、マヨネーズ小さじ1/2、ハム、なますを順にはさむ。
  • 仕上げに15㎜幅に刻んだパクチーと、粗みじん切りにしたピーナッツをのせる。スイートチリソースを添え、お好みでかけながらいただく。
調理のコツ!
  • バインミーのパン
    バインミーには歯切れのいい、軽やかなパンがおすすめです。
    本格的なハードなバゲットよりも、ソフトフランスを軽く焼いてから
    使ったり、細くて食べやすいフィセルを選びましょう。

POINT

ヌクマムとスイートチリソース
ヌクマムとチリソース

味わいの決め手となるのがベトナムの調味料。
ヌクマムはベトナム料理には欠かせない魚醤(ぎょしょう)です。日本では手に入りにくいので、タイのナンプラーで代用できます。いつもの料理に少し加えるだけで、ベトナムらしい味わいに!
チリソースも手軽にバインミーらしさを出せる調味料。辛みの強いホットチリソースとスイートチリソースがあり、バインミーにはスイートチリソースがおすすめです。甘酸っぱさの中に辛みのアクセントがあるバランスのよい味わいが、野菜とお肉とパンをおいしくつなげてくれます。

なますとパクチー
なますとパクチー

日本だとおせち料理のイメージの紅白なますですが、バインミーでは基本の具材!甘酸っぱさが食欲をそそります。パクチーが苦手でなければたっぷりどうぞ。ネギやバジル、大葉等をプラスして、色々な香りを付けるのもおすすめです。
ピーナッツはお好みで。カリッとした食感と香ばしさがいいアクセントになります。

アレンジレシピ

豚肉のヌクマム炒めのバインミー

豚肉のヌクマム炒めのバインミー

ベトナムでは焼き肉をラフにはさんだバインミーもよく見かけます。
豚の切り落とし肉や、挽肉をヌクマムで味付けて焼きたてをはさんだものは食べ応えもあっておすすめです。
材料をわざわざ用意しなくも、あるものでささっとアレンジして試してみてください。

材料(1人分)
フィセル (ソフトフランス等でも)
1/2本
マヨネーズ
小さじ2
レバーペースト
大さじ1
グリーンリーフ
6g
サニーレタス
6g
キュウリ(スライス)
12g
豚肉のヌクマム炒め※
60g
にんじんと大根のなます※
25g
パクチー
適量
ピーナッツ
小さじ1
スイートチリソース
大さじ1
※【豚肉のヌクマム炒め】(作りやすい分量)
豚切り落とし肉200gに、酒大さじ1とヌクマム(ナンプラーでも可)大さじ1、白こしょう少々をふりかけて揉み込んでからフライパンで炒める。
※【にんじんと大根のなます】(作りやすい分量)
大根4㎝分の皮をむき、繊維に沿って縦に薄切りにする。さらに7㎜程度の幅に切る。にんじん4㎝分も同様に切る。大根とにんじんに塩小さじ1/2を揉み込んで5分ほど置き、軽く絞る。米酢大さじ3に砂糖大さじ2を混ぜ合わせてから大根とにんじんを合わせて揉み込む。
作り方
  • キュウリは縦方向に5㎜程度の厚さにスライスする。
    フィセルはクラストがパリッとする程度に軽くトーストし、横から切り込みを入れる。カット面の下側にマヨネーズを小さじ1を、上側にレバーペーストを塗る。
  • グリーンリーフとサニーレタスを挟み、マヨネーズ小さじ1/2を塗り、さらにキュウリ、マヨネーズ小さじ1/2、豚肉のヌクマム炒めを順に挟み、スイートチリソースをかける。さらににんじんと大根のなますも挟む。
  • 仕上げに15㎜幅に刻んだパクチーと、粗みじん切りにしたピーナッツをのせる。

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ベトナムのバインミーから
おいしさを学ぶ

本場のバインミーのおいしさは、
まず“作りたて”であることが一番のポイントです。ベトナムのバインミー屋さんは、基本的にオーダーを受けてから作ります(写真①、②)。

パンは軽く温めて、皮をパリッとさせます。屋台や人気の専門店では炭火で炙る場面も多く見かけます(写真③)。

パンだけでなく、炭火で肉類を焼いて、熱々を挟んでくれる屋台(写真②)も多く、焼肉や肉団子には甘辛いタレをたっぷりかけるのは食べ応えもありビールにも合いそうです。

定番の組み合わせは、レバーペースト、ハム類、キュウリ、なます、香味野菜です。ハム類は、ベトナムハム、ベトナムソーセージ、焼豚、でんぶ等、数種類を組み合わせます(写真④、⑤、⑥)。いろいろな素材が合わさることで、味わいに奥行きが出て満足度がアップします。

パクチー、ネギ等の香味野菜のトッピング(写真⑦)もパンチがあります。
具を挟んでから、ヌクマム(魚醤)やチリソース等、ベトナムの調味料(写真⑧)をかけることでベトナムらしい香りに仕上がります。オーダーサンドなので、好みによって具や調味料を加減することもできます。
組み合わせやボリュームを変えることで、朝から夜まで一日中楽しめるのも魅力ですね。自由にアレンジしてその日の気分で自由に楽しんでみてください。