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「なんとなく不調」を整える自律神経のお話 ③(全5回)
調子が悪いのは、年齢のせいだとあきらめていませんか?
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冷える、肩がこる、寝つきが悪い...生活のクオリティを下げる不快な症状の数々。つい「年齢のせい」「そういう体質だから」とあきらめてしまいがちなものです。特に更年期を迎える年代ともなればなおさら。けれども、もし自律神経を整えることでそれらの悩みを軽減できる可能性があるとしたら...?
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冷える、肩がこる、寝つきが悪い...生活のクオリティを下げる不快な症状の数々。つい「年齢のせい」「そういう体質だから」とあきらめてしまいがちなものです。特に更年期を迎える年代ともなればなおさら。けれども、もし自律神経を整えることでそれらの悩みを軽減できる可能性があるとしたら...?
夏冬問わず、カチコチ!パンパン!それは自律神経の乱れによる血行不良かも!?
第1回で説明したとおり、自律神経は「脳からの命令を臓器や筋肉に伝える」働きに加え、「血管を収縮・拡張する」働きもしています。
血液は、血管を通じて酸素や栄養を体の細胞レベルまで届け、老廃物や二酸化炭素を運び出す役割を果たしています。主に心臓がポンプの役割をして血液を全身に送り出していますが、それだけでは末端の毛細血管にまで行き渡りません。血管そのものも適度に細くなったり(=交感神経の働きによる収縮)、太くなったり(=副交感神経の働きによる拡張)して、血液をすみずみまで巡らせているのです。
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しかし自律神経が乱れると、血管が収縮しっぱなしになって血行が滞り、酸素や栄養が十分に届かなくなったり、反対に血管が拡張しっぱなしになって静脈に血液が停滞し、老廃物が溜まってしまったりすることに。これがいわゆる血行不良という状態で、冷えや肩こり、むくみなどの不快な諸症状の引き金になると考えられています。夏でも末端が冷える、年中肩がこる、むくみやすい、という方は、自律神経が乱れている可能性があるといえるでしょう。
継続すれば血行が良い状態に 呼吸は深くゆっくりと!
冷え、肩こり、むくみにはさまざまな対処法がありますが、一時的に良くなっても自律神経が乱れれば、また同じようなことが起こるため、日常的に自律神経を整えることが大切です。
ストレス社会といわれる現代。日常生活で緊張や興奮、怒りなどの刺激を受けて、知らず知らずのうちに「交感神経優位」になっている方が多いといわれています。交感神経が強く出ていると呼吸が速く浅くなってしまうため、整えるにはまず、ゆっくりと呼吸をすることからはじめましょう。
やり方はシンプルです。3秒かけて肺をふくらませるように息を吸い込み、6秒かけて吐きます。苦しければ最初は2秒吸って4秒かけて吐いても構いません。ポイントは、深呼吸を1対2の割合で行うこと。鼻から吸って口で吐くのがおすすめですが、難しいと感じた場合は口呼吸でもOKです。
毎日1分間の深呼吸で自律神経を整えよう!
①3秒かけて鼻から吸う。
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②6秒かけて口から吐く。
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この呼吸法を毎日1回、1分間行ってみてください。場所も時間も決まりはありません。家事や仕事の合間、寝る前などに、1分間だけでいいので、とにかく続けてみましょう。ゆっくり深く呼吸することを習慣にしているうちに自律神経が整い、血行不良にも良い影響をもたらしてくれるかも...。
毎日1分間の深呼吸で自律神経を整えよう!
①3秒かけて鼻から吸う。
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②6秒かけて口から吐く。
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イライラ・発汗・肌荒れ...自律神経を整えて更年期を穏やかに!
更年期に女性が感じる症状には、イライラ、発汗、肌荒れ、むくみ、疲労感、気分の落ち込みなどが挙げられます。これは、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量の急激な減少が原因とされています。こうした更年期がはじまる前後、40代以降の女性を、自律神経の観点から見てみると、副交感神経の活性度が低下し、自律神経が乱れがちになることがわかっています。「更年期のせい」とあきらめていた症状が、自律神経のアンバランスさから起きている可能性もあるのです。
また、更年期や年齢に負けず若々しくありたいと思っていても、自律神経が乱れて血行が悪化すると、酸素や栄養たっぷりの血液が肌や臓器に行き渡らず、機能が低下。老化の原因の1つになると考えられています。反対に、自律神経を整えて血行が良くなれば、アンチエイジングにつながることも...。つまり、前述した「毎日1分間の深呼吸」は、若々しくイキイキとした毎日にするためにも効果的だといえそうです。まだ更年期を迎えていない方も、更年期に入った方も、呼吸に着目して、年齢特有のお悩み解決に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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睡眠の質が悪い...副交感神経の働きを強めよう
自律神経のリズムを見てみると、昼間はアクセル担当の交感神経が優位で、日が暮れるとブレーキ担当の副交感神経が優位になり、次第に体がリラックスして眠りにつきます。
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このように、交感神経が緊張や興奮という刺激を受けるとすぐに活性化するのに対し、副交感神経はゆっくりと作用していくのが特徴です。寝る3時間ほど前からリラックスを心がけて、交感神経を刺激せず、副交感神経の働きを高めるようにしましょう。
寝床に入ってもなかなか寝つけないときは、焦らず気持ちをゆったりさせて、前述した1対2の深呼吸を。この場合は、1分間ではなく3分間ほど時間をかけて行うと良いでしょう。
このシリーズ(全5回)の他の記事を読む
- <参考書籍>
- ・小林弘幸(講師). NHK趣味どきっ!カラダが変わる!自律神経セルフケア術. NHK出版, 2019.
<監修>
小林弘幸
順天堂大学医学部教授/日本スポーツ協会公認スポーツドクター