「なんとなく不調」を整える自律神経のお話 ⑤(全5回)
自律神経が整う、朝昼晩おすすめルーティーン
自律神経は、毎日の行動を習慣化することで整いやすくなります。日々同じ行動を繰り返すことで自律神経の乱れが整うだけでなく、行動に迷いがなくなって、仕事や家事の効率がアップすることも…。今回ご紹介する朝昼晩のルーティーンを生活に取り入れて、揺らぎにくい心と体への第一歩をスタートしてみませんか?
自律神経は、毎日の行動を習慣化することで整いやすくなります。日々同じ行動を繰り返すことで自律神経の乱れが整うだけでなく、行動に迷いがなくなって、仕事や家事の効率がアップすることも…。今回ご紹介する朝昼晩のルーティーンを生活に取り入れて、揺らぎにくい心と体への第一歩をスタートしてみませんか?
お目覚めスイッチオン!朝のルーティーンで元気をチャージ
早起きは三文の徳、といいますが、自律神経の観点からいうと、早起きは三文どころかいいことずくめ!朝は時間が限られている分、やることを決めておくと慌てずに準備ができ、夜活発になっていた「副交感神経」から昼間活発になる「交感神経」への切り替えをゆるやかに行えるというメリットがあります。まずはどれか1つからでもいいので、ぜひはじめてみましょう。
その1:カーテンを開けて太陽光を浴びる朝起きたらすぐにカーテンを開けましょう。太陽の光を浴びると「体内時計」がリセットされるとともに、副交感神経と交感神経のスムーズな切り替えを促します。さらに元気の源・セロトニンが分泌されて、やる気もアップ。分泌したセロトニンは、夜になると睡眠をつかさどるメラトニンが生合成されるための原料となるので、その日の夜の睡眠の質も向上し、結果、翌朝の心地良い目覚めにもつながるという好循環が続きます。
その2:朝一番に水を飲む朝食の前に、まず口にすべきはコップ1杯の水。眠っている腸がゆるやかに刺激を受け、便通を促すだけでなく、胃腸が刺激を受けることにより、副交感神経の働きの下がり過ぎを防ぎ、自律神経が理想的な1日のリズムを刻めるように。
その3:ほんの少しでもいいので必ず朝食を朝食を食べると、「体内時計」を管理する「時計遺伝子」が「時」を刻みはじめます。これにより、自律神経が整い、新陳代謝やホルモンの分泌が良くなります。おすすめは朝食にプラスして温かい味噌汁を一杯。胃腸を通る際、味噌汁の温かさが血流を促し、副交感神経の働きの下がり過ぎが抑えられ、自律神経のリズムが整います。
その4:30分の余裕を持って早起きを「時間がない」「遅刻しそう」などと焦ってしまうと副交感神経が急激に低下。自律神経の乱れを引き起こします。逆に、時間に余裕があると自律神経のスイッチがスムーズに切り替わります。自律神経が乱れやすい雨の日は、特に早起きを心がけましょう。
いきいきスイッチオン!昼のルーティーンでストレスに負けない
アクティブモードの交感神経が活発になる昼間は、生活リズムにあわせて交感神経が活発になるよう助けてあげる、かつ、合間に上手にリラックスさせてあげるルーティーンが必要です。
その1:なるべく階段を使う長時間座っていると血行が悪くなり、自律神経のバランスが乱れる原因に。街中でもエスカレーターを使用せず、階段を上り下りする習慣をつけましょう。家でも新聞やリモコンをきちんと立ち上がって取るなど、こまめに体を動かすよう心がけて。簡単な運動でも日々心がけて動くことで、血流が良くなり、肩こりやむくみの軽減も期待できるでしょう。
その2:昼食前に水を飲む昼食後に眠くなるタイプの方に特におすすめ。食後に眠くなるのは、食事中、交感神経が活発になった直後に消化器官が急に動き出すことで、副交感神経が一気に優位になる急転換を起こすためだといわれています。食前にコップ1杯の水を飲んで腸をあらかじめ動かしておけば、交感神経からゆるやかに副交感神経へと移行し、食後の眠気を抑えてくれるでしょう。
その3:集中力リセットにはスクワット仕事中などに集中力が切れたなと思ったら、スクワットを10回してみましょう。下半身のポンプ機能が活性化することで血行が良くなり自律神経の乱れが整います。しっかり呼吸しながら、ゆっくりと行うのがポイントです。
① 息を吐きながら、ひざができるだけ90度の角度になるまで腰を落とす。
② 息を吸いながら、ひざをもとに戻す。
その4:緊張したら手のひらを“パー”に緊張や不安を感じると無意識に“グー”のように手を握り締めてしまいがち。末端の毛細血管の血流が低下し、自律神経にも悪い影響が出てしまうといわれています。緊張したらあえて手を指が反るほどしっかり“パー”にしましょう。副交感神経が働くことで、気持ちの高ぶりを抑える効果が期待できます。
リラックスモードオン!夜のルーティーンで明日にそなえる
夜は活発に動かず、とにかく静かに過ごせば良いと思いがち…。でも実は、あえて動いたほうが自律神経にとって良い場合もあります。激しく動いては逆効果なので、それぞれのポイントを守って取り入れてみましょう。
その1:部屋と気持ちをすっきりさせるプチ片付けすっきり整頓された部屋は、自律神経の安定につながります。しかし完璧にやろうと頑張り過ぎては逆効果。おすすめは、1日1か所・30分以内のプチ片付けです。そもそも片付けという行為には、副交感神経の働きを高め自律神経を整える効果があるので、毎日続けてリフレッシュに役立ててはいかがでしょうか。
その2:夕食後の軽めウォーキング軽いウォーキングは血流を促し、自律神経を整えることに役立つといわれています。取り入れるのであれば、おすすめは夕食後から就寝の1時間前までに、30分から1時間ほどゆっくりと深い呼吸をしながら歩くこと。時間がない場合はストレッチでも可。体がほぐれ、寝つきも良くなるでしょう。
その3:寝る前にオイルを飲むオイルを飲むというとびっくりする方もいるかもしれませんが、亜麻仁油やMCTオイルなどのオイルは、腸内環境を改善したり、自律神経のバランスを整えてくれたりするほか、代謝も良くしてくれる優れモノ。寝る前にスプーン1杯飲むと腸の中で便をコーティングし、快便もサポートしてくれるのだとか。
その4:首を温める&ほぐす首のまわりには自律神経に関係する迷走神経と星状神経節があり、首がこっていると自律神経の乱れにつながることも…。まず首を温めて血流を促しましょう。さらにツボを押すと交感神経の働きが鎮まり、副交感神経の働きが高まります。副交感神経の働きが高まると腸活にも良い効果をもたらすといわれています。
首と鎖骨の境目あたりにある「星状神経節」と首筋にある「迷走神経」をネックウォーマーやホットタオルでじっくり温める。
両手の中指で15~20回押す。
外側の「完骨」から順に、両手の親指で上から下へ首のラインに沿ってゆっくり押す。
首と鎖骨の境目あたりにある「星状神経節」と首筋にある「迷走神経」をネックウォーマーやホットタオルでじっくり温める。
両手の中指で15~20回押す。
外側の「完骨」から順に、両手の親指で上から下へ首のラインに沿ってゆっくり押す。
このシリーズ(全5回)の他の記事を読む
- <参考書籍>
- ・小林弘幸. 眠れなくなるほど面白い 図解 自律神経の話. 日本文芸社, 2020年初版, 2021年第21刷.
- ・小林弘幸. 自律神経の名医が教える ココロとカラダの疲れとり大全. SBクリエイティブ, 2021.
<監修>
小林弘幸
順天堂大学医学部教授/日本スポーツ協会公認スポーツドクター