
あなたの眠りは大丈夫?眠りのプロに聞く安眠法 ④(全6回)
眠れない・・・とお悩みの方にも!毎晩スーッと寝つく方法

「寝床に入ってもなかなか寝つけなくて」と悩む人も少なくありません。では、ベッドや布団に入ってからどれくらいの間に眠れていれば問題はないのでしょうか? 答えは意外と短く約25分以内1)!それ以上かかるようであれば、今回ご紹介する方法をぜひ取り入れてみてください。

「寝床に入ってもなかなか寝つけなくて」と悩む人も少なくありません。では、ベッドや布団に入ってからどれくらいの間に眠れていれば問題はないのでしょうか? 答えは意外と短く約25分以内1)!それ以上かかるようであれば、今回ご紹介する方法をぜひ取り入れてみてください。
続けることで効果がUP!
"入眠ルーティーン"を作ろう
行動が習慣になると、深く考えなくても体が自然と動くようになります。睡眠も同じで、「これをしたら眠る」という行動を習慣づける=入眠ルーティーンを作っておくと、脳も体も速やかに睡眠モードに切り替えることができます。
例えば、「決まった音楽を流す」、「好きなアロマオイルを焚く(ティッシュなどに垂らすだけでOK)」、「ハンドクリームを塗る」など。自分がリラックスでき、毎日続けやすいものを探してみましょう。中でも簡単で効果的なルーティーンは「パジャマに着替える」こと。近頃はジャージや着古した服を部屋着にしてそのまま寝ている人も少なくありませんが、まず、パジャマに着替えるという行為自体が、入眠の良いスイッチとなります。また、寝間着を前提としていない服は、思った以上に手首足首を締めつけていたり、寝返りが打ちづらかったり、就寝中の汗を吸収してくれなかったりと、快眠の邪魔をしているので、睡眠用に考えられたパジャマを着用することで、良質の睡眠も手に入ります。素材ならコットンやシルクなど、吸湿性に優れた肌触りの良い天然素材のものがおすすめですが、体を締めつけず、自分が「気持ちいい」と感じるものにこだわってみると良いでしょう。
また、簡単なヨガやストレッチも入眠ルーティーンとして効果的です。ただし21時以降は、腹筋などの呼吸数や心拍数が上がるような激しい運動は逆に寝つけなくなってしまうので注意しましょう2)3)。
寝つきを良くする簡単ヨガ「橋のポーズ」


寝つきを良くする入浴のタイミングは?
汗を流して1日の疲れた体と心をリラックスさせてくれる入浴は、快適な眠りのためにもちろんおすすめです。しかし、入り方によっては逆効果になってしまうので要注意です。
睡眠と入浴の良い関係を解き明かすキーワードは「深部体温」。深部体温は、脳や内臓などの体の内部の温度をさすものです。人は、朝から日中にかけて深部体温が上昇し、交感神経が優位になって活動モードになります。それに対して夜間は深部体温が下がり、リラックスをつかさどる副交感神経が優位になって眠くなるというリズムを持っています4)。

このリズムを入浴で作り出すことで、寝つきを良くすることができます。つまり、入浴で一旦深部体温を上げておけば、お風呂上がりに体温が放出されることで深部体温が下がり、よりぐっすりと眠れるという訳です。
より速やかに、かつ質の良い睡眠を得るためには、就寝時刻の1〜2時間前に40℃程度の入浴をするのが効果的であることが報告されています。それ以上の熱い湯船につかったり睡眠直前に入浴したりすると、交感神経が優位になって興奮状態になったり、体温調整がうまくいかなかったりして逆に眠れなくなってしまうことがあります。「どうしても熱いお湯が好き」という方は就寝2時間以上前に入り、眠るまでの時間を多く取ってクールダウンしてから寝床につくようにしましょう。ちなみに熱いお湯での入浴はヒートショックの危険性もあるので、寒い冬は浴室を十分温めることも大切です。

心身をリラックスさせ良い眠りにつなげるために、次の入浴のルールを守って、スムーズな入眠を手に入れましょう5)6)7)。


- 寝つきを良くする入浴のルール
-
〇入浴は就寝の1〜2時間前までに。
〇お湯の温度は40℃程度のぬるめに。
〇入浴時間は10〜15分ほど。
〇湯船には肩までつかって全身浴で。
夜の睡眠の邪魔をしない「椅子に座ったまま」プチ昼寝のススメ
日中に襲ってくる強い眠気。眠りたいけど昼寝なんて...と罪悪感を抱きながら必死で目をこすっていませんか?しかし、昼寝には疲労回復、集中力や免疫力アップなど、メリットがいっぱい。最近の科学では、短時間の昼寝は認知症や心臓病のリスクを軽減させる効果があるという研究結果も出ているので、ぜひ取り入れてみてください8)9)。ちなみにアメリカでは「昼寝=NAP」を「パワーナップ」と呼んで、脳と体にパワーを取り戻すとして広く浸透しているのだとか。
夜の睡眠を邪魔しないパワーナップのポイントは「午後3時までに」「時間は15〜20分間」「椅子に座ったまま」の3点。横になって熟睡してしまわないようあえて寝心地を良くしすぎないのがコツ。
昼寝前に緑茶、コーヒーなどカフェインを含む食品を摂取すると、30分後に覚醒作用が現れるのですっきりとした目覚めにつながります8)9)。

このシリーズ(全6回)の他の記事を読む
- 1)野田明子, 宮田聖子. 第3章 睡眠検査. 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-2 認知症予防のための検査特集, 2017.
- 2)友野なお. ねこ先生クウとカイに教わる ぐっすり睡眠法. KADOKAWA, 2018, p.56-59, p.74-77.
- 3)友野なお. やすみかたの教科書. 主婦の友社, 2016, p.100-111, p.128-131.
- 4)W. E. Scales, A. J. Vander, M. B. Brown, M. J. Kluger. Human circadian rhythms in temperature, trace metals, and blood variables. J Appl Physiol. 1988, Oct;65(4):1840-6, doi:10.1152/jappl.1988.65.4.1840.
- 5)友野なお. ねこ先生クウとカイに教わる ぐっすり睡眠法. KADOKAWA, 2018, p.46-49.
- 6)友野なお. やすみかたの教科書. 主婦の友社, 2016, p.138-141.
- 7)友野なお. 疲れがとれて朝シャキーンと起きる方法. セブン&アイ出版, 2017, p.230.
- 8)友野なお. ねこ先生クウとカイに教わる ぐっすり睡眠法. KADOKAWA, 2018, p.122-123.
- 9)友野なお. 疲れがとれて朝シャキーンと起きる方法. セブン&アイ出版, 2017, p.138-143, p.227.
<監修>
友野なお
睡眠コンサルタント/(株)SEA Trinity代表取締役/日本公衆衛生学会/日本睡眠学会/日本睡眠環境学会 正会員/産業心理カウンセラー