体をつくるたんぱく質のチカラ ②(全2回)
「たんぱく質」の上手な摂り方
「たんぱく質」は、私たちが生きていくために不可欠な栄養素。不足すると筋肉の減少や体の機能低下が起こり、さまざまな不調につながります。必要量をしっかり摂り、効率良く体の力にする、上手なたんぱく質の摂り方についてご紹介します。
「たんぱく質」は、私たちが生きていくために不可欠な栄養素。不足すると筋肉の減少や体の機能低下が起こり、さまざまな不調につながります。必要量をしっかり摂り、効率良く体の力にする、上手なたんぱく質の摂り方についてご紹介します。
たんぱく質の必要量は?
年齢を重ねると、筋肉をつくる機能が低下してしまうため、若い頃よりも多くのたんぱく質が必要になります。例えば、30~40代の女性は1食あたり「体重×0.4g」が目安です。体重50kgの場合、必要な量は20gで、この量を朝・昼・夕の食事ごとに摂り、1日60gの摂取を目指しましょう。
運動習慣がある人は、運動によってたんぱく質が分解されることが想定されるため、1食あたり「体重×0.4g」に加えて、間食で「体重×0.4g」のたんぱく質を摂るようにしましょう。ハードな筋トレでも、軽いストレッチでも、とにかく「運動をしているなら、たんぱく質を多めに摂る!」と覚えておきましょう。
たんぱく質を摂るときのポイント
たんぱく質の摂り方で最も重要なポイント、それは小分けにして摂ることです。たんぱく質は“摂りだめ”ができない栄養素。例えば、夕食でたくさん肉を食べて1食で1日分のたんぱく質を摂ったとしても、体内で利用しきれずに排出されてしまいます。また、摂取する間隔が空くと、その分筋肉の分解が進むリスクもあるため、「朝・昼・夕の食事ごとに20gずつ摂る」ことが、賢く効率的な摂り方なのです。
特に注意したいのは、簡単なメニューになりがちな朝食です。2012年の国民栄養調査の結果をもとに解析された研究では、朝食で十分にたんぱく質を摂れていない人が非常に多いということが報告されています。卵や乳製品、納豆など、手軽にたんぱく質をプラスできる食品を取り入れて、メニューを充実させましょう。「朝は食欲がなく、あまり食べられない」という場合は、プロテイン飲料などのたんぱく質を多く含んだ補助食品などで補ってもOKです。
運動も組み合わせて筋力の維持と強化を!
筋肉量の減少を防ぐためには、たんぱく質を摂取するだけでなく適度な運動も大切です。といっても、ハードなトレーニングは必要ありません。まずは簡単なエクササイズを、1日1回行うことを習慣にしましょう。おすすめは、「ツイストもも上げ」。たった5秒程度、ひねりを加えてももを上げるだけで、腹筋と下半身の筋肉をまんべんなく刺激できます。
習慣化のコツは、朝食前、歯みがきの後など、行うタイミングを決めること。「気がついたときにやる」ではなく、生活のリズムに組み込んでしまう方がうまくいきます。加えて、日常生活の中で体を動かす工夫も取り入れましょう。手っ取り早いのは歩くこと。近所への買い物は車を使わず歩いて行く、エスカレーターを使わず階段を上るなど、些細な習慣を見直すことで、運動量は増やせます。
筋肉の維持、強化には、良質な睡眠、ストレスをためないといったことも影響します。強いストレスを感じると分泌される「コルチゾール」というホルモンは、過剰に分泌されると筋肉を分解してしまうからです。また、筋肉の合成を刺激する成分、ビタミンDの摂取も役立ちます。このビタミンは、紫外線を浴びることでもつくられるので、朝、起きたらカーテンを開けて日光を浴びるといった習慣を取り入れるといいでしょう。
たんぱく質を上手に摂取し、日常の中で適度な運動もあわせて行いながら、健やかな体づくりに取り組みましょう。
このシリーズ(全2回)の他の記事を読む
- <参考文献・書籍>
- ・Kazuko Ishikawa-Takata, Hidemi Takimoto. Current protein and amino acid intakes among Japanese people: Analysis of the 2012 National Health and Nutrition Survey. Geriatr Gerontol Int. 2018 May;18(5):723-731. doi: 10.1111/ggi.13239. Epub 2018 Jan 22.
- ・藤田聡. 眠れなくなるほど面白い 図解 たんぱく質の話. 日本文芸社, 2019.
<監修>
藤田聡
立命館大学スポーツ健康科学部 教授