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何をすればいい?今日からできる「腸活」のはじめ方 ③(全5回)
腸内フローラはこれで整う!~食生活編~
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腸内フローラに存在する細菌たちは、はがれた腸の粘膜や大腸に送り込まれた食べかすを栄養源に生きています。善玉菌を増やすには、善玉菌が多く含まれる食品を食べるのはもちろん、善玉菌を元気にする栄養源となる食品を摂ることが必要です。より効果的に腸内フローラを整える食品の組み合わせを知り、「腸活:食生活編」を成功させましょう!
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腸内フローラに存在する細菌たちは、はがれた腸の粘膜や大腸に送り込まれた食べかすを栄養源に生きています。善玉菌を増やすには、善玉菌が多く含まれる食品を食べるのはもちろん、善玉菌を元気にする栄養源となる食品を摂ることが必要です。より効果的に腸内フローラを整える食品の組み合わせを知り、「腸活:食生活編」を成功させましょう!
善玉菌が多く含まれる食品とは?
発酵食品は善玉菌を含む食品として知られています。代表的なのは、ヨーグルト、ぬか漬け、納豆、キムチ、味噌、チーズなど。これらには、乳酸菌やビフィズス菌、酵母菌、麹菌などの善玉菌が含まれているので、普段から継続的に食卓に取り入れることで、多種多様な善玉菌を増やすことが期待できるでしょう。
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善玉菌を含むこれらの食品の中でも、比較的手に入りやすく気軽にはじめられるのが、ヨーグルトです。ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌は、生きたまま腸に届くことで、人体に良い影響を与えることができる微生物としても知られています。善玉菌の中でも、非常に優秀な腸内細菌なのです。腸活をはじめるのであれば、まず最初に取り入れてほしい食品といえるでしょう。
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善玉菌の摂り方
腸年齢チェックをした方の中には「ヨーグルトを食べているけれど、結果が良くなかった」という方もいるでしょう。ヨーグルトなどの乳酸菌やビフィズス菌をより健康に役立つよう取り入れるには、2つの重要なポイントがあります。
まず1つは、継続して与えること。食品から得られた乳酸菌やビフィズス菌は、そのまま腸内にすみついてはくれません。2~3日すると便とともに自然と排出されてしまいます。腸内で常に善玉菌が優位に立つように、毎日コツコツ摂り続けることが大切です。
おすすめは、ヨーグルトを毎日100〜300g食べること。加糖タイプより、プレーンのほうが腸内環境改善には効果的です。甘くないと食べづらい人は、砂糖ではなくはちみつや果物と一緒に摂るようにしましょう。一度に300gは大変でも、毎食後に100gなら続けやすいはず。早ければ1週間程で善玉菌の良い働きが実感できるでしょう2)。
※はちみつを使用する場合は、1歳未満の乳児には与えないでください。
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もう1つのポイントは、生きたまま腸に届けること。いくら優れた効果をもつ菌でも、生きたまま腸に届かなければその力は発揮できません。食べたものはまず胃を通過するので、摂取した善玉菌は胃液にやられてしまいます。生きたまま腸に届く菌を増やすには、胃酸の濃度が高い空腹時を避け、食後か食間に食べること。胃酸に強いタイプの菌も開発されているので、それらを使ったヨーグルトなどを選ぶのも良いでしょう2)。
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"育菌"で、
腸内フローラを整えよう!
最後にご紹介するのが、善玉菌を育てる"育菌"食品。善玉菌が好む食品のことで、善玉菌を元気に活動させて増殖を促進させるうえ、悪玉菌が増えるのを抑えてくれます。
その育菌食品の代表格が「オリゴ糖」と「食物繊維」です。善玉菌を増やすのはもちろん、食物繊維は腸内の食べかすをまとめて体外へ排出するのも助けるので、腸内環境はますます良好に。腸活に欠かせない栄養素といえます。
お手軽な"育菌"方法としておすすめなのが、ヨーグルトに育菌食品を組み合わせること。粉状の寒天を混ぜたり、はちみつやバナナ、さつまいもを加えるだけ。乳酸菌・ビフィズス菌などの善玉菌を含む食品だけを食べるよりも、一緒に摂ることで、より良い"育菌"効果が得られることがわかっています。
- ■オリゴ糖を多く含む食品 1)
- ごぼう、玉ねぎ、りんご、はちみつ、オリゴ糖甘味料
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- ■食物繊維を多く含む食品 1)
- 食物繊維には、水に溶ける「水溶性」と水に溶けない「不溶性」があります。水溶性の食物繊維は、脂質や糖質などの有害物質をからめ取って体外へ排出し、不溶性の食物繊維は水分を吸収して腸のぜん動運動を活性化させ、お通じを促す役割があります。水溶性・不溶性を問わず、食物繊維は自力で腸を強くする立役者ですので、日常的にたくさん摂ることを心がけましょう。
<水溶性食物繊維を多く含むもの>
バナナ、りんご、いちご、柑橘類
海藻類(寒天、わかめ、めかぶなど)
きのこ類(しいたけ、えのきなど)
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<不溶性食物繊維を多く含むもの>
豆類(大豆やひよこ豆など)
穀類(玄米や雑穀など)
いも類(さつまいも、じゃがいもなど)
ごぼう、ブロッコリー
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ミニコラム
悪玉菌を増やす肉は食べないほうがいい?
悪玉菌は、高脂肪・高たんぱくの食事を好んで増殖し、腐敗物質を作り出します。そのため肉の食べ過ぎは悪玉菌を増やす原因となります。しかし体をつくる重要な栄養素でもあり、食べないというのは現実的ではありません。
めざすべきは、善玉菌多め、悪玉菌少なめの環境を維持すること。肉を食べたなら、その分、野菜を3倍食べるように心がけ、善玉菌の働きを助けてあげましょう。バランスの良い食事は、健やかな腸内環境づくりにもつながるのです3)。
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善玉菌を多く含む食品を摂り続けることで、排便回数、量ともに増え、便秘の予防・解消に役立つことが期待されています。健康な便がたくさん出るようになると、お腹まわりもスッキリ。さらに血行が良くなって内臓機能も高まります4)。育菌で腸内フローラを整えることは、太りにくく・やせやすい体づくりにもつながるのです。
このシリーズ(全5回)の他の記事を読む
- 1)辨野義己. 自力で腸を強くする30の法則. 宝島社, 2016, p.50-51, p.64-69.
- 2)辨野義己. 一生医者いらずの菌活のはじめ方. マイナビ, 2013, p.129-133.
- 3)辨野義己. 一生医者いらずの菌活のはじめ方. マイナビ, 2013, p.126.
- 4)辨野義己. 一生医者いらずの菌活のはじめ方. マイナビ, 2013, p.159-173.
<監修>
辨野義己
一般財団法人辨野腸内フローラ研究所 理事長/国立研究開発法人理化学研究所 名誉研究員