小麦の基礎知識
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糖質は体と脳のエネルギー源

小麦粉に含まれる主な栄養素は、炭水化物とたんぱく質であり、中でも炭水化物は68~75%を占めています。この炭水化物の主成分が糖質。体や脳を動かすエネルギー源です。私たちが生きていくうえで欠かせないこの重要な栄養素について、詳しく解説します。
※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より

小麦粉に含まれる主な栄養素は、炭水化物とたんぱく質であり、中でも炭水化物は68~75%を占めています。この炭水化物の主成分が糖質。体や脳を動かすエネルギー源です。私たちが生きていくうえで欠かせないこの重要な栄養素について、詳しく解説します。
※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より

そもそも炭水化物とは?糖質とは?

炭水化物は、ブドウ糖や果糖などの「単糖」(糖の最小単位)から構成されているものの総称で、消化・吸収されエネルギー源となる「糖質」と、消化・吸収されない「食物繊維」に大別されます。糖質はさらに、ブドウ糖や果糖などの「単糖類」、単糖が2個つながったショ糖(砂糖)、乳糖、麦芽糖などの「二糖類」、単糖が3~10個程度つながったオリゴ糖、10個以上つながった「多糖類」に分類されます。小麦粉に含まれる糖質の大部分は、多糖類の一つである「でんぷん」です。

でんぷんが体に取り込まれるまで

それでは、でんぷんはどのようにエネルギーに変わっていくのでしょうか。ブドウ糖が何万個も鎖のようにつながった状態であるでんぷんは、口に入ると、口から胃、十二指腸を通過しながら、さまざまな消化酵素の働きによってブドウ糖どうしの結合が切られていきます。そしてようやく小腸で最小単位であるブドウ糖にまで分解、吸収されます。吸収されたブドウ糖は、血液中に取り込まれ、全身に運ばれます。健康診断などでおなじみの血糖値とは、このようにして血液中に取り込まれたブドウ糖の濃度のことです。

一方、でんぷんの中でも消化・吸収されずに大腸まで届くものもあり、こちらは「難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)」と呼ばれています。

ブドウ糖は人体を動かすエネルギー源

全身に運ばれたブドウ糖は、主に体や脳を動かすエネルギー源として使われます。脂質やたんぱく質もエネルギー源として使われますが、ブドウ糖はそれらに比べて早くエネルギーに変換されるので、即効性が期待できます。そして実は、脳がエネルギーにできるのは、ほとんどがブドウ糖。人体の司令塔であり、非常に多くのエネルギーを消費する脳が安定して働くよう、しっかりブドウ糖を補給することが大切です。

なお、余分なブドウ糖は、筋肉や肝臓でブドウ糖がたくさん結合した「グリコーゲン」に変換後、一時的に貯蔵され、必要に応じてさまざまな活動のエネルギー源として利用されます。

ブドウ糖の不足にも、摂り過ぎにも要注意

血液中のブドウ糖が足りなくなると、貯蔵されていたグリコーゲンがブドウ糖に分解され、エネルギー源となります。しかし、グリコーゲンがない場合は筋肉などのたんぱく質を分解し、アミノ酸をブドウ糖に変換してエネルギーを補うようになるため、筋肉の減少につながる可能性も。また、エネルギー源であるブドウ糖が不足すると、疲れやすくなったり、集中力が低下したりといった不調が起こりがちです。場合によっては、脳へのエネルギー不足から意識障害につながることもあるので要注意です。

反対に、摂り過ぎると、エネルギーとして消費されなかったブドウ糖は、脂肪となって体内に蓄積され、肥満や生活習慣病の原因になります。

糖質は、健やかな体調を維持するために欠かせない栄養素です。適切に摂り、体も脳もアクティブな毎日を過ごしましょう。

<監修>

香川靖雄

女子栄養大学副学長