食物繊維で腸内環境改善
小麦全粒粉に豊富な「食物繊維」。からだに重要な栄養素であることは知られるようになってきました。でもこの食物繊維、日本人には、まだまだ足りていないのです。
小麦全粒粉に豊富な「食物繊維」。からだに重要な栄養素であることは知られるようになってきました。でもこの食物繊維、日本人には、まだまだ足りていないのです。
毎日、食物繊維が足りていない日本人
日本人男女の一日あたりの「食物繊維」の平均摂取量をあらわしたこのグラフ。2017年には、約60年前の1955年にくらベて、穀物からの摂取量が3分の1以下になっていることがわかります。米離れがすすみ、大麦などの雑穀が食べられなくなったことが一因と言われています。また、食品の中でも、食物繊維摂取量に寄与する割合が最も高いのが「精白米」。その次が「食パン」です。日本の食生活では、食物繊維の摂取に穀物がいかに大切かがわかりますね。
そもそも、食物繊維ってどんなもの?
食物繊維とは「人の消化酵素では消化できない食物中の成分」です。たとえば、炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質などは、消化酵素によって分解(消化)され、小腸から体内に吸収されていきますが、食物繊維は消化、吸収されずに大腸まで到達します。整腸作用など、からだの中で有用な働きをすることから、炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素に次ぐ、「第6の栄養素」とも言われています。
食物繊維は、水に溶けやすい水溶性と水に溶けない不溶性に大別されますが、腸内の善玉菌のエサになる発酵性と腸内細菌に利用されず便のカサを増し排便を促す非発酵性という分け方もあります。
小麦全粒粉、小麦ブラン(小麦ふすま)で食物繊維を摂ろう!
小麦全粒粉や小麦粒の表皮部分にあたる小麦ブラン(小麦ふすま)には、食物繊維が多く含まれています。通常の小麦粉100gに含まれる食物繊維は2.7gなのに対し、小麦全粒粉には11.2gも含まれています※。また、小麦ブラン(小麦ふすま)に含まれる食物繊維の量は、ごぼうなどの食物繊維含有量が多い野菜と比べても桁違いです。
野菜にも食物繊維が含まれていますが、野菜の摂取量を増やすのは難しいという方もいらっしゃると思います。そんな方は、いつも食べている小麦粉の一部を小麦全粒粉に置き換えることで、効率よく食物繊維を補うことができます。最近では小麦全粒粉入りのパンやパスタなど、さまざまな製品が販売されており、小麦全粒粉入りの食品を入手しやすくなっています注)。
小麦全粒粉や小麦ブラン(小麦ふすま)に主に含まれるのは、水に溶けない不溶性食物繊維で、排便の回数や量を増やすなど整腸作用があることがわかっています。そのうえ、不溶性食物繊維でありながら、善玉菌(酪酸菌)を増やすことで腸内環境を整える発酵性食物繊維「アラビノキシラン」を多く含んでいます。
食物繊維を毎日食べ続けることで、腸内環境の改善(腸活)につながっていきます。小麦全粒粉や小麦ブラン(小麦ふすま)を積極的に食べて、腸活にチャレンジしてみては?
- ※「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より
- 注)1食当たりの食物繊維量は各製品のパッケージに書かれている表示を参照してください。
<監修>
青江誠一郎
大妻女子大学 教授/日本食物繊維学会 理事長