何はなくとも、チーズにはパンを。
パンにおいしいチーズを合わせたい!と、パン好き人間はついパンが主語になりますが、パンはチーズがなくてもおいしくいただけます。そう、バターだけだって、充分おいしいもの。でも、逆にチーズを主語にしてみると話が違います。チーズだけを食べるより、パンを合わせたほうが断然おいしい。ましてや、チーズフォンデュとなるとパンは必須です!
うちの夫がスイスに出張に行った時、スイス人の同僚クリストフの実家に誘われたそうです。ご両親が用意してくれていた食事は「チーズフォンデュ」。
それも自宅で食べるのではなく、チーズの入った鍋とパンを持たされて、牧場を通り抜けて森の中へ。11月の寒い夜、森の中でキャンドルを灯し、たき火の準備をしてとろーりアツアツのチーズをパンに付けながら、ただひたすらチーズとパンだけを食べたとか。このことをうらやましく思っていたら、なんとその後、私もクリストフの実家に遊びに行けたのです!
私がスイスを訪れたのは夏。
その時は、チーズフォンデュではなくラクレットをいただきました。
“ラクレット(Raclette)” とはスイス南部で生まれた山のチーズです。溶けたチーズをナイフで削るという意味の “ラクレ” がその料理とチーズの名前になっています。スイスだけでなく、フランス、ドイツでも冬の定番料理として親しまれていて、ラクレットグリルと呼ばれる専用ホットプレートは多くの家庭にあるそうです。ラクレットも本当は冬の料理なんだけどせっかくだから、とクリストフのお母様が広い庭先にテーブルを出して、素敵にセッティングしてくれました(①)。
この時はパンはなくて、炭水化物はじゃがいも(②)だけ!皮ごと蒸したじゃがいもは、こうやって皮をむくのよ!(③)とマダムに教わって、溶けたチーズをたっぷりとかけていただきました。パンは自分で買って行けばよかったなと思いながら、じゃがいもとチーズでお腹がいっぱいになりました。