パンのテーブル、世界の味。 Vol.4 パンとサラダ イタリア・アメリカ パンツァネッラとシーザーサラダ パンのテーブル、世界の味。 Vol.4 パンとサラダ イタリア・アメリカ パンツァネッラとシーザーサラダ

パンを添えるか、混ぜ合わせるか?

パンとスープもいいですが、サラダとパンも女子にはうれしい組み合わせですね。
旅先のマルシェでは、その季節ごとの旬の野菜や、日本にはない野菜を探すのも楽しみです(①、②、③)。ビストロやカフェでは、必ずたっぷりのサラダ(とパン!)をいただきます(④、⑤)。
でも、今回ご紹介するのは、サラダとパン、ではありません。パンがサラダの具になった、パン入りサラダです。

イタリア・トスカーナの郷土料理である「パンツァネッラ」をご存じでしょうか?
固くなったパンを水に浸して絞ってからサラダにする。あまりおいしそうには聞こえませんね。私も初めて知った時には、なかなか挑戦する気になれませんでした。ところが、食べると冷やし茶漬けのような感覚で、喉越しがよくなったパンはさらりといただけます。定番は、トマトとキュウリの組み合わせ。気軽に作れるので、まずはこちらのレシピでお試しを。気に入ったら、食材を変えて色々なパターンに挑戦してみてください!
私のお気に入りは、カプレーゼとパンツァネッラを組み合わせたアレンジ。パンを加えることで、ボリューム感とおいしさを両立させることができます。

パンツァネッラ

材料(2人分)
バゲット
1/4本
フルーツトマト
3個
キュウリ
1本
セロリ
1/2本
バジル
3枚
赤タマネギ
1/4個
ルッコラ
1/2束
白ワインビネガー
大さじ1.5
小さじ1/2
白こしょう
少々
はちみつ
小さじ2
EXVオリーブオイル
大さじ2
  1. ※パンとトマトとキュウリがあれば、その他の野菜はお好みでアレンジしてください。香りのある野菜やハーブが入ると見た目も味わいも華やかになり、おもてなしの一品としても喜ばれます。
  2. ※ここではフルーツトマトを使っていますが、普通のトマト1個で代用しても。
作り方
  • バゲットは3等分に切る。ボウルに水をたっぷり入れてバゲットを入れ、水分をしっかりと吸わせてから手でギュッと絞る。
  • フルーツトマトはくし切りに、キュウリは乱切りに、セロリは5㎜の厚さに斜めスライスする。赤タマネギは薄くスライスし、水にさらしてシャキッとさせておく。
  • ボウルにフルーツトマトを入れ、はちみつを合わせる。キュウリを加えて、塩、白こしょうをし、さらに①のバゲットを手でちぎりながら加え、白ワインビネガー、EXVオリーブオイルを全体にかけ、セロリを加えてよく混ぜ合わせる。仕上げにバジルをちぎって加える。
  • ③を器に盛り、ルッコラを添え、赤タマネギをトッピングする。好みで、さらにEXオリーブオイルを少々かけて仕上げてもよい。
調理のコツ!
  • サラダに合うパン
    わざわざ用意しなくても、スープと同様に残り物の固くなったパンで大丈夫!パンツァネッラのように水分を含ませる場合には、バゲットやカンパーニュ等しっかりとしたハード系のパンが向きます。シーザーサラダのように、クルトンにするなら、食パンやフォカッチャなどより幅広いパンで楽しめます。

POINT

パンをふやかす
パンをふやかす

パンツァネッラのパンは、水に浸してふやかしてから使います。水はしっかり吸わせますが、ふやかしてからギュギュッと絞るのがポイントです。余分な水分を絞った後に、ビネガーとオリーブオイルを吸い込むことで、程良く味が付き、風味よく仕上がります。
水分を吸ったパンは野菜としっかりからみ、喉ごしよくさらりといただけます。

アレンジレシピ

シーザーサラダ

シーザーサラダ

日本でも大人気のシーザーサラダは、1924年にメキシコのティファナのレストラン、「シーザース(Ceasar's)」で生まれたと言われています。アメリカの印象が強いサラダがメキシコ?と意外ですが、当時のアメリカは禁酒法時代まっただ中。ハリウッドで働くアメリカ人が、こぞってティファナの街に訪れていたそうです。たくさんの来客に慌てたシェフが、あり合わせの材料で即興で作ったサラダが評判を呼び、世界中に広まりました。
シーザーサラダに必須のクルトンは残り物のパンをたまたま入れただけ、だったのかもしれませんが、パンが入っていたからこそ、世界的なサラダになったのではないでしょうか。
オリジナルのレシピは、ロメインレタスとクルトンだけのシンプルなものですが、ここではベーコンとポーチドエッグも加えてごちそう風に仕上げます。

材料(2人分)
バゲット
1/4本
EXVオリーブオイル※
大さじ2
にんにく
1/2片
パルメザンチーズ(粉末)
10g
ロメインレタス
80g
ベーコン
12g
たまご
1個
■シーザーサラダドレッシング(作りやすい分量)
マヨネーズ
50g
プレーンヨーグルト
50g
EXVオリーブオイル※
大さじ1
レモン果汁
小さじ2
アンチョビ
3尾
パルメザンチーズ(パウダー)
10g
黒こしょう(粗挽き)
小さじ1/4
小さじ1/4
  1. ※クルトンとドレッシングに使うEXVオリーブオイルは、あらかじめスライスしたにんにくを漬け込んで風味を付けておくと風味よく仕上がります。サラダ用オイルとして、多めに作っておくと便利です。
作り方
  • にんにくをスライスし、EXVオリーブオイルに浸けておく。
  • バゲットは一口大に切り、ボウルに入れ、①のEXVオリーブオイルを全体にかける。さらにとパルメザンチーズを加えてよく混ぜ合わせてから、オーブントースターで焼き色が付くまで焼く。
  • ドレッシングを作る。アンチョビを細かく刻み、その他の材料を全て混ぜ合わせる。
  • ベーコンは5㎜の短冊に切り、フライパンでソテーする。
  • ポーチドエッグを作る。たまごは小さな器に割り入れておく。小鍋に湯を沸かし酢(分量外)を少々加える。箸で湯をぐるぐる回して水流を作り、真ん中にたまごをそっと入れる。箸で、白身をまとめるようにしながら、約3分ゆでる。冷水に取り、粗熱を取る。
  • 器に食べやすい大きさにちぎったロメインレタス、ベーコン、①と④と⑤を盛り、③のドレッシングをかけていただく。

POINT

パルメザン風味のクルトン
パルメザン風味のクルトン

シーザーサラダに欠かせないクルトンは、あらかじめにんにくの風味を付けたオリーブオイルとパルメザンチーズをまぶして焼くことで、そのままでもおいしいラスクとしていただくこともできます!
多めに作って、シーザーサラダ以外のサラダやスープのトッピングにしたり、そのままおつまみにしても。

シーザーサラダドレッシング
シーザーサラダドレッシング

マヨネーズとヨーグルトをベースにしたシーザーサラダドレッシングは気軽に作れてなかなかのおいしさです。アンチョビとパルメザンチーズの量はお好みで加減しても。パルミジャーノ・レッジャーノの固まりをすりおろして使うと、より香りよく仕上がります。

ITALIAN  FOOD  COLUMN ITALIAN  FOOD  COLUMN

イタリアチーズの王様!パルミジャーノ・レッジャーノ

サラダや料理に大活躍のパルメザンチーズはイタリアのパルミジャーノ・レッジャーノを模したもので、世界中で作られています。日本では、パルメザン=粉末状の印象もありますが、本来は30㎏以上もある大きな硬質チーズです。
イタリア北東部のエミリア・ロマーニャ地方のパルミジャーノ工場に見学に行ったのはもう随分前のこと。大きな銅の釜の中で二人がかりで丸められたばかりの赤ちゃんパルミジャーノ(①、②)は、まだふんわりと温かい状態でした。その後、型に詰めて(③)ギュギュッと凝縮され、塩水のプールにつけ込んで塩分を染みこませます。その後は熟成庫の中(④)で、一年半じっくりと熟成させて完成です。芳醇な香りと凝縮したうま味は、この土地ならではの気候と長い時間によってもたらせるものです。

パルミジャーノとプロシュートのおいしい関係

同じ地方では、プロシュート(生ハム⑤)も作られています。プロシュートも、1年以上の熟成により、この土地の気候風土によって作られる味わいが特徴です。
パルミジャーノを作る時に出たホエー(同釜の中の水分)は捨てることなく、この地域の豚達がたっぷりと飲んでいるそうです。だからこそ豚肉がおいしくなり、とびきりのプロシュートが出来るのだとか。パンも食材も、その土地ならではの気候風土が作り出すもので、口の中で感じる味わい以上に、その歴史や背景も奥深いものです。
パンとパルミジャーノとプロシュートをつまみながら、ワインを楽しむのもいいですね。