あなたの眠りは大丈夫?眠りのプロに聞く安眠法 ⑤(全6回)
どうしても眠れない夜のお助け対処法
一般的に、ベッドや布団に入ってから約25分以内に寝つくのが理想といわれています1)。しかし日中の出来事を思い出して目が冴えたり、気になることや悩みごとがあったりすると、なかなか眠れない夜もあるものです。そんなときに試してほしい入眠テクニックをご紹介します。
一般的に、ベッドや布団に入ってから約25分以内に寝つくのが理想といわれています1)。しかし日中の出来事を思い出して目が冴えたり、気になることや悩みごとがあったりすると、なかなか眠れない夜もあるものです。そんなときに試してほしい入眠テクニックをご紹介します。
緊張をゆるめ心と体をほぐす
ストレッチ&スリープヨガ
寝る時間になっても一向に眠気がやってこない...。もしかすると日中の緊張状態が持続し、緊張をつかさどる交感神経が優位になっているかもしれません。そんなときは、以下にご紹介するストレッチやスリープヨガで心と体をほぐしましょう。
リラックス効果をつかさどる副交感神経に働きかけ、眠りへと誘うのが目的なので、激しくする必要はありません。一生懸命やり過ぎると交感神経が働き逆に目が覚めてしまうので、ゆっくりと自分が気持ち良いと思う範囲で行います。最後に腹式呼吸(お腹を凹ませながら口から息を吐き、吐ききったら鼻から空気を吸ってお腹に空気をためる呼吸法)を行うと、さらに深いリラックス感が得られ安眠につながります。
① 片方の腕を伸ばして、もう片方の腕をクロス。クロスした腕で伸ばした腕を引っ張る。バランス良く、両腕を伸ばす。
② 両手を頭の上で組み、二の腕の内側、わき腹など体の側面を意識しながら横に反らすように伸ばす。片側を伸ばしたら、反対側も同じように伸ばす。
③ 床に座って足の裏をぴったりとくっつける。足先を手でつかみ、ゆっくりと呼吸しながら、おじぎするように上半身を前に倒す。
① 片方の腕を伸ばして、もう片方の腕をクロス。クロスした腕で伸ばした腕を引っ張る。バランス良く、両腕を伸ばす。
② 両手を頭の上で組み、二の腕の内側、わき腹など体の側面を意識しながら横に反らすように伸ばす。片側を伸ばしたら、反対側も同じように伸ばす。
③ 床に座って足の裏をぴったりとくっつける。足先を手でつかみ、ゆっくりと呼吸しながら、おじぎするように上半身を前に倒す。
① ベッドや椅子に腰かける。力を抜いて手足をぶらぶらさせ、全身をほぐす。
② 顔面、手、足にギュッと力を入れる。足先は天井を向いている状態。そのまま5秒間キープする。
③ 顔面、手、足の力を抜き、全身を楽にする。手は開いて、足先はリラックスしている状態。そのまま5秒間キープする。
①から③を5回繰り返す。
① ベッドや椅子に腰かける。力を抜いて手足をぶらぶらさせ、全身をほぐす。
② 顔面、手、足にギュッと力を入れる。足先は天井を向いている状態。そのまま5秒間キープする。
③ 顔面、手、足の力を抜き、全身を楽にする。手は開いて、足先はリラックスしている状態。そのまま5秒間キープする。
①から③を5回繰り返す。
① 仰向けになり右膝を立てたら、両手で右膝を抱えて胸に引き寄せる。
② 右膝を左へ倒し、左手で右膝を押さえる。上体は右にひねり右腕を伸ばす。余裕があれば顔も右を向き、ゆっくり5回呼吸を行う。
③ 元の姿勢に戻り、反対側も同様に行う。
① 仰向けになり、両手のひらを下に向けてまっすぐ伸ばす。
② 両手を腰に添えて両足を天井の方へ上げ、上体を倒しながらそのまま頭上の先まで伸ばす。足先と手のひらを床につけた状態で5回呼吸を行う。
③ 息を吐きながら背骨を1つずつ床に置くようにゆっくりと背中を戻す。
① 仰向けになり、両膝を立てて肩幅程度に開く。腕は体の横にまっすぐ伸ばし、手のひらを下に向ける。
② 足を上げて太ももをお腹に引き寄せ、足の裏をつかんで5回呼吸を行った後、ゆっくり足を下ろす。足の裏をつかんだ状態で呼吸するときは、両膝を床に引き寄せながら息を吸い、両膝をゆるめて少し床から離しながら息を吐く。
焦りと不安は逆効果!
こじれてきたら寝床から離れて
眠れないことが気になりだすと「早く眠らなければ」と焦り、さらに眠気から遠ざかっていきます。「目を閉じて横になっているだけでもいい」という方もいますが、眠れないまま不安を感じながら寝床で過ごす状況が続くと、脳が「寝床=眠れない場所」と記憶してしまい、眠れないことが常態化してしまいます。眠れないからと、ベッドや布団の中で時計を見ることもNG。焦りと不安が増大してさらに目が冴えてしまいます。
一番究極の対処法は「1晩2晩、眠れなくても何ということない!」と開き直ること。"眠れない焦り"というストレスから解放してあげることが大切なのです4)5)。
羊の数を数えて眠れるのは、欧米人だけ?
この2と3の根拠を考えると、日本語で「ひつじ」と発音しても効果が無いということに...。そこで、「羊」に代わって唱える日本語をご紹介します。それは「ひと~つ」「ふた~つ」という昔ながらの数え方。できるだけゆっくりと数えると腹式呼吸に近い呼吸リズムになり、リラックスして眠気が訪れやすくなるそう。ただし、数が大きくなると「こんなに数えたのにまだ眠れない!」と焦りや不安を増大してしまうので、1から10までを繰り返して数える方がいいようです。羊の数を数えて眠れなかった方はぜひ試してみてください6)。
このシリーズ(全6回)の他の記事を読む
- 1)野田明子, 宮田聖子. 第3章 睡眠検査. 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-2 認知症予防のための検査特集, 2017.
- 2)友野なお. 眠るだけビューティー法則 眠活 1日9時間のキレイの近道"睡眠美容術". 中央公論新社, 2011, p.48-51.
- 3)友野なお. やすみかたの教科書. 主婦の友社, 2016, p.132-137.
- 4)友野なお. ねこ先生クウとカイに教わる ぐっすり睡眠法. KADOKAWA, 2018, p.88-89.
- 5)友野なお. 疲れがとれて朝シャキーンと起きる方法. セブン&アイ出版, 2017, p.200-201.
- 6)友野なお. 29.『羊を数えて眠れる』のは、欧米人だけだった!. SLEEP CULTURE. 2016-9-16.
http://tomononao.com/2016/09/16/25-%E3%80%8E%E7%BE%8A%E3%82%92%E6%95%B0%E3%81%88%E3%81%A6%E7%9C%A0%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%8F%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%80%81%E6%AC%A7%E7%B1%B3%E4%BA%BA%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F/, (accessed 2021-7-1).
<監修>
友野なお
睡眠コンサルタント/(株)SEA Trinity代表取締役/日本公衆衛生学会/日本睡眠学会/日本睡眠環境学会 正会員/産業心理カウンセラー