長寿につながる食習慣!?地中海式食事法 ①(全3回)
おいしく楽しく!「地中海式食事法」で元気に長生き!
地中海式食事法とは、イタリア、ギリシャ、スペインなど、地中海沿岸地域に暮らす人々の伝統的な食習慣をもとに提唱された健康的な食生活のモデルです。近年の研究により、脳卒中や心筋梗塞 1), 2), 3)、がん 4)、乳がん 5)、肥満 6)、糖尿病 7)などの 生活習慣病のリスクを低下させるだけでなく、長寿につながる効果が期待されています 8)。
地中海式食事法とは、イタリア、ギリシャ、スペインなど、地中海沿岸地域に暮らす人々の伝統的な食習慣をもとに提唱された健康的な食生活のモデルです。近年の研究により、脳卒中や心筋梗塞 1), 2), 3)、がん 4)、乳がん 5)、肥満 6)、糖尿病 7)などの 生活習慣病のリスクを低下させるだけでなく、長寿につながる効果が期待されています 8)。
注)ここでは地中海沿岸地域の伝統的な食習慣を「地中海食」、それをもとに一般化した食生活のモデルを「地中海式食事法」と呼んでいます。
世界が注目、健康と長寿の秘訣は地中海にあり!?
メディアではさまざまな健康食やダイエット法などが紹介されていますが、地中海式食事法とはどのようなものなのでしょうか?
地中海食は2010年にユネスコ無形文化遺産に登録されたことで、より広く知られるようになりました。登録されているのは地中海に広がる7カ国。イタリア、スペイン、ギリシャ、モロッコに加え、2013年にキプロス、クロアチア、ポルトガルが追加登録されています。
実は、地中海食が健康によいことは1950年代から研究されていました。アメリカ合衆国ミネソタ大学のアンセル・キーズ博士は、肉やバターなどを贅沢に使った当時の欧米の食生活に対して、地中海沿岸地域特有の食事に注目。健康的な食習慣として「地中海式食事法」を提唱したことから、1970年代に広く注目を集めました。
その後、1990年代にはハーバード大学公衆衛生大学院のウィレット教授が地中海沿岸地域の食習慣は「予防医学のモデルケース」であるとして、地中海式食事法をピラミッド型の図で発表しました。
日本でもバブル期のイタリアンブームや、2000年代のオリーブオイルブームを通じて地中海式食事法は広く知られるように。
近年では、2018年、米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)が英医学誌ランセットに発表した論文で、2040年にはスペインの平均寿命が日本を上回り、世界一の長寿国として知られた日本が首位の座から陥落すると予測したことが世界で話題を呼びました 9)。
科学的な研究が裏付ける「地中海式食事法」の魅力
デュラムセモリナ粉で作られる乾燥パスタには、インスリンの上昇を抑え、糖尿病の発症予防や肥満防止につながる効果が研究されています 10)。ナッツ類にはオメガ3系の不飽和脂肪酸が多く含まれているのもポイントです。
タンパク質や脂質については、魚介類は日常的に摂取し、鶏肉などの白身肉や卵、乳製品は週に数度、牛肉や豚肉などの赤身肉は月に数度の摂取とされています。オメガ3系の不飽和脂肪酸を魚介類とナッツ類から豊富に摂取し、調理や風味付けにはオリーブオイルを多用し、オメガ9系の不飽和脂肪酸(オレイン酸)の比率が高いことが地中海式食事法の重要な特徴です。
その他、食事中に適量の赤ワインを飲むこと(体質により飲まなくても可)、水を毎日十分に飲むこと、さらに、日常的に適度な運動をすること、家族や友人と楽しみながら食事をすることなども勧められています。
研究によれば、地中海式食事法に従うほど、心血管疾患、がん、パーキンソン病、アルツハイマー病のリスクが低いといわれています 11)。また生活習慣病の原因ともなる内臓肥満を防止し、メタボ改善に役立つ 12)健康的な食事法であることも報告されています。
2014年には、ハーバード大学の研究班は、テロメアと呼ばれる染色体の構造と食生活との関連を調査することによって、地中海式食事法を実践しているほど長寿に結びつく効果があることを示唆する論文を発表しました 13)。
地中海沿岸地域には100歳を超えて元気に暮らす長寿の人々が少なくなく、その健康と長寿の秘訣として地中海式食事法はますます世界の注目を集めています。
注)「赤身肉」は脂の少ない部位の肉のことではなく、牛肉や豚肉などのように見た目が赤い肉の種類を表しています。鶏肉は赤身肉には含まれず、「白身肉」に分類されます。
- 1)Lancet. 1994 Jun 11;343(8911):1454-9. doi: 10.1016/s0140-6736(94)92580-1.
- 2)Circulation. 1999 Feb 16;99(6):779-85. doi: 10.1161/01.cir.99.6.779.
- 3)N Engl J Med. 2013 Apr 4;368(14):1279-90. doi: 10.1056/NEJMoa1200303.
- 4)Ann Intern Med. 2016 Oct 4;165(7):491-500. doi: 10.7326/M16-0361.
- 5)JAMA Intern Med. 2015 Nov;175(11):1752-1760. doi: 10.1001/jamainternmed.2015.4838.
- 6)N Engl J Med. 2008 Jul 17;359(3):229-41. doi: 10.1056/NEJMoa0708681.
- 7)Ann Intern Med. 2014 Jan 7;160(1):1-10. doi: 10.7326/M13-1725.
- 8)N Engl J Med. 2003 Jun 26;348(26):2599-608. doi: 10.1056/NEJMoa025039.
- 9)Lancet . 2018 Nov 10;392(10159):2052-2090. doi: 10.1016/S0140-6736(18)31694-5.
- 10)柳井一男, 旗川陽子, 横山淳一. 白米飯食,麦飯食,パスタ食の各食後の健常者における血糖及びインスリン反応. 日本病態栄養学会誌. 2003, 6, p.159-163.
- 11)BMJ. 2008 Sep 11;337:a1344. doi: 10.1136/bmj.a1344.
- 12)JAMA. 2004;292(12):1440-1446. doi:10.1001/jama.292.12.1440.
- 13)BMJ. 2014 Dec 2;349:g6674. doi: 10.1136/bmj.g6674.
<監修>
緒方哲男
アトリエ メディテラネ代表/オリーブオイル鑑定批評家