イベントレポート Vol.9
「穀物由来の食物繊維の機能性について学ぶセミナー」開催
「穀物由来の食物繊維の機能性について学ぶセミナー」(女子栄養大学出版部主催・株式会社日清製粉グループ本社共催)を2024年2月22日(木)、コングレスクエア日本橋(東京都中央区)にて開催しました。
本セミナーは、管理栄養士、栄養士、食の仕事に従事している方、学生などを対象に全粒穀物の栄養や機能性について学び、日々の仕事や活動に活かしていただくことを目的に開催。会場参加のほか、オンラインでも同時配信し、約400人が参加しました。
「穀物由来の食物繊維の機能性について学ぶセミナー」(女子栄養大学出版部主催・株式会社日清製粉グループ本社共催)を2024年2月22日(木)、コングレスクエア日本橋(東京都中央区)にて開催しました。
本セミナーは、管理栄養士、栄養士、食の仕事に従事している方、学生などを対象に全粒穀物の栄養や機能性について学び、日々の仕事や活動に活かしていただくことを目的に開催。会場参加のほか、オンラインでも同時配信し、約400人が参加しました。
第一部(前半)「全粒穀物の栄養学」
第一部の前半は、女子栄養大学の香川靖雄副学長が「全粒穀物の栄養学」をテーマに、食物繊維、特に全粒穀物の機能性について解説しました。
最後は、健康日本21(第三次)に基づき、食物繊維の1日の目標摂取量として男性は21g以上、女性は18g以上を摂取することを推奨し、講演を終えました。
講演後に寄せられた「穀類を食べるとお腹が張る、ガスが出るという患者さんがいます。どんなふうに食べれば良いですか?」という質問には「私たちの腸内細菌にはガスを作る菌、悪玉菌が多いのですが、ビフィズス菌や乳酸菌はガスを作りません。乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスやそれらの餌となるオリゴ糖などと一緒に召し上がるのが良いかもしれません。加えて運動と睡眠も大事です」と話しました。
第一部(後半)「穀物由来の食物繊維の機能性について」
後半は、大妻女子大学の青江誠一郎教授が登壇。「穀物由来の食物繊維の機能性について」をテーマに講演しました。
一方、発酵性食物繊維が不足すると腸内バリアの低下につながることを説明。また、妊娠中の女性が発酵性食物繊維を摂取すると、腸内の善玉菌によって短鎖脂肪酸が産生され、胎盤を通じて胎児に移行します。短鎖脂肪酸は、胎児の神経細胞などの発達を促すため、出生後の代謝機能が整えられ、生活習慣病の予防につながることを紹介し、妊娠期に発酵性食物繊維を摂る大切さを訴えました。
青江教授は「今までは全粒小麦や小麦ふすまというと、便通の改善や、食べ過ぎを抑える、食後血糖上昇の抑制などが言われてきましたが、一歩進んで、全粒小麦は発酵性食物繊維の宝庫であり、短鎖脂肪酸をたくさん作ることで大腸機能の改善や免疫の活性化、酪酸産生菌の増加など、新たな機能が見えてきました」と話し、穀類を中心に、根菜類、豆類、海藻類を加えた4種の食材由来の発酵性食物繊維を摂取することが重要だと強調して講演を終えました。
第二部「全粒粉の取り入れ方 動画紹介」
第二部は、家庭料理研究家の石黒弥生先生による「全粒粉の取り入れ方」をテーマとしたレシピの動画を紹介。レシピはいずれも全粒粉を100%使用。会場では講演に先がけて今回紹介するレシピの1つであるビスコッティが配られ、参加者は試食しながら講演が始まるのを待ちました。
講演後、「全粒粉はシチューなどでき上がりが白いイメージの料理に使うと違和感があるものでしょうか?」という質問が寄せられると、「シチューに全粒粉を使うと確かに茶色になりますが、半分は薄力粉を使ったり、にんじんなど色味のある食材を後からのせたりするのもいいと思います。ほかにも例えば、グラタンを作るときには、チーズをトッピングして茶色の面積を減らすといった工夫もできますね」と答えました。
会場とオンラインで開催された同セミナー。会場で参加された方は、講演中は講師の話に熱心に耳を傾け、休憩時間中には通路に展示された日清製粉グループの商品を手に取りながら談笑するなど、和気あいあいとした光景が見られました。ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。
女子栄養大学 副学長
香川靖雄
大妻女子大学 教授
青江誠一郎
オンライン料理教室主宰/家庭料理研究家
石黒弥生