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労働安全衛生
当社グループは、年度ごとに安全衛生管理方針を定め、労働安全衛生に対する考え方を社員と共有し、安心して働ける職場づくりに努めています。
安全衛生管理基本方針
安全衛生管理方針は、毎年、災害分析を行って、問題を抽出し、その対策を翌年度の安全衛生管理方針に反映させPDCAを回すことにより、事故や災害の発生を継続的に減少させることを目指しています。
「安全衛生管理方針」には基本方針と重点実施事項が含まれ、安全衛生管理委員会で審議した後、経営層に報告しています。
安全衛生管理基本方針
安全衛生はすべてに優先する。
災害は防止することができ、また防止しなければならない。
管理監督者は労働災害を未然に防ぐため、リスクアセスメントによる機械設備の不安全状態の把握と改善、危険予知活動による作業者の不安全行動を防止し、安全な職場環境を形成する。
交通災害については、特に若年齢層と高年齢層への交通安全教育を徹底することで災害の発生を防止する。また、通勤途上での徒歩や自転車を含む車両運転中の安全確認など交通安全指導を強化する。
衛生管理への取組みでは、従業員の心身の健康増進、安全・快適で衛生的な職場環境の維持・向上を図る。
従業員一人ひとりは、危険予知の感度を高めて不安全な行動を撲滅する。また心と身体の健康の保持・増進に努める。
重点実施事項
労働災害
- ヒヤリハット報告の提出を定着させ、対策の実施と情報の共有化で、危険意識を高める。
- 危険予知訓練の機会を増やし、作業前の危険予知、指差呼称の実施と定着を推進することで、不安全行動を撲滅する。
- リスクアセスメント(化学物質を含む)を計画的に実施し、労災が発生しない環境を整える。
- 取り扱い薬剤の危険性をSDS等で把握し、作業者への安全教育を徹底する。
- 設備の清掃時、異常時などは機械の運転停止を徹底し、併せて手出し対策(安全カバー設置等)を強化する。
- 職場の5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)強化と維持で災害防止を図る。
- 日清製粉グループ内で発生した災害情報の水平展開を行い、同種災害の発生を防止する。
- 高年齢作業者(50代以上)に対する安全教育機会を増やし、実施を徹底する。
(高年齢作業者に対する安全対策として「エイジアクション100」※1、「エイジフレンドリーガイドライン」※2の活用等を推進する) - 「転倒」災害や「はさまれ・巻き込まれ」災害、「切れ・こすれ」災害について対策を強化する。
特に、「転倒」災害対策は、滑り止めシートの導入、床やグレーチングを滑りにくい仕様に替えるなどの設備的な対策をすすめる。 - 外国人従業員への安全教育を推進する。
- ※1 「エイジアクション100」とは、中央労働災害防止協会が作成している、100のチェック項目による、高年齢作業者が働きやすい職場環境の整備や働き方の見直しに関する職場の改善ツール
- ※2 「エイジフレンドリーガイドライン」とは、厚生労働省が高年齢労働者に対して、安心して安全に働ける職場環境の実現に向け、事業者や労働者に取組みが求められる事項を取りまとめたもの
交通事故
- 「かもしれない運転」の意識付けの推進を継続する。
- 交通危険予知動画や「交通・通勤災害ニュース」等を利用して、定期的に危険予知訓練を実施し危険への感受性を高める。
- 運転中および停車中の前車との車間距離の確保を徹底する。
(例:運転中は速度に応じて2秒間以上の間隔、交差点等で停車する際は前の車のリアバンパーの下端が運転席から見えるくらいが目安) - 交差点や駐車場等の要所での安全確認(指差呼称等)に努める。
- 30歳未満の運転技量の向上を図る。
(例:上司の同乗による指導、外部ドライビングスクールへの派遣 等) - 業務用車両への安全装置、運転者支援システム、ドライブレコーダーの導入を推進する。
- 時間に余裕を持ったスケジュール設定と行動に努める。
- 自動車通勤に限らず、各自で通勤途中の要注意箇所(自然災害上のリスク※も含む)を把握し、事業場・職場内で危険情報を共有化する。
- 30歳未満の若年齢、50歳以上の高年齢ドライバーへの交通安全教育を徹底する。
- 外国人従業員への多言語に対応した交通安全指導を強化する。
- 徒歩での交差点横断時、青信号であっても左右からの車両の飛び出しに注意を払う。また、夜間の歩行の際、明るい服装やライトを持つなどドライバーからの視認性を高める指導を行う。
- 自損事故対策を実施する。
(例:自転車・徒歩で、スマートフォンを見ながら、会話をしながら等の「ながら動作」禁止の注意喚起、自転車・徒歩での通勤時の足元(側溝・段差・階段等)確認の注意喚起など)
- ※「自然災害上のリスク」とは、地震、台風、豪雨等の自然災害で、崖崩れ、河川増水等により、交通障害が発生する可能性を指す。
火災・小火への対応
- 加熱調理器具等(特にフライヤー)の定期的な点検、排気口を含む器具周りの清掃作業を実施する。
- 火気使用規定に基づき、厳格に火気の使用を制限し管理する。
- 外部委託の作業者を含めて、喫煙ルールを周知・徹底する。
- 工事現場を含め、危険物、指定可燃物、廃棄物については法令に基づき、適切な場所に適切な手段で保管し管理する。
衛生管理
- 職場での感染症対策を徹底し、改善する。
(例:CO2濃度の測定による換気状況の確認、マスク着用作業時の熱中症対策、手洗い・消毒設備の改善など) - 安全衛生管理体制を再確認する。
(衛生管理者・安全管理者・産業医・総括安全衛生管理者選任の労働基準監督署への届出、衛生委員会等の実施・運営の見直し後の適正運用、産業医の職場巡視、衛生管理者の職場巡視 他) - 健康診断受診を確実にトレースして保健指導を推進し、健診結果等を有効活用する(健康経営の視点から)。
- ストレスチェック制度の実施と一次予防および職場改善施策を実施する。
- 労働衛生の3管理(作業管理、作業環境管理、健康管理)を推進する。
- 健康被害につながる作業環境の改善、必要な環境測定等の状況把握を実施する。
(例:熱中症の予防、騒音対策、有機溶剤等の薬品使用場所の換気など) - 長時間労働を削減するとともに、総労働時間を削減する。
- 健康施策を実施する(健康セミナー等)。
2024年度の目標
職場の労働災害ゼロ
加害交通事故ゼロ
職場の長欠者ゼロ
火災・小火の発生ゼロ
労働安全衛生に関するマネジメントについて
(株)日清製粉グループ本社の取締役常務執行役員 技術本部長を委員長として、グループ各社の生産系の取締役から構成される安全衛生管理委員会を組織し、また技術本部に安全衛生管理室を設けて、管理体制の充実を図っています。安全衛生管理委員会は年に1回開催し、その結果を(株)日清製粉グループ本社の取締役等をメンバーとするグループ運営会議に報告しています。
労働安全衛生に関するマネジメントについては、「安全衛生管理方針」をベースとして、安全衛生管理委員会を中心にPDCAのサイクルを回しています。特に、PDCAのDに相当するリスクアセスメントについては、必要性を認識して取り組んでおり、グループ本社の安全衛生管理室による国内外事業会社の監査で実施状況を確認しています。また、社外の目による監査は重要と考えており、第三者機関による診断を行うこととし、2015年度から開始し、継続して行っています。
労働災害防止のためのリスクアセスメント※
2005年度にリスクアセスメント活動をグループ内に導入・展開し、現在はすべての工場、研究所に定着しています。
2016年度からは「化学物質のリスクアセスメント」活動も対象の事業場で行い、活動全体を充実させています。また、M&A 等の新規プロジェクトにおいては、必要に応じて、対象会社の安全衛生規定や労災発生状況、労働関連当局からの是正勧告対応状況等について事前に確認しています。
※リスクの大きさを評価し、そのリスクが許容できるか否かを決定する全体的なプロセスのことです。
2023年度の「労働災害の発生状況」
2023年度は不休災害14件、休業災害は2件となりました。休業災害は前年度の6件から4件減少したものの、不休災害は12件から2件増加しました。
「はさまれ・巻き込まれ」は3件、「転倒」は2件と前年度と変わりませんでした。その他は11件発生しており、型別で見ると、「切れ・こすれ」4件、「激突」2件も発生しています。
発生件数を作業別で見ると、定型的な作業を実施する定常作業中の発生が約6割、突発的に発生する非定常作業中の災害が約4割となりました。作業別に関わらず、どんな作業の場合にも作業前の危険予知と指差呼称を実践し、日頃からヒヤリ・ハット情報の収集による作業環境の改善、リスクアセスメント活動の推進により、災害が発生しづらい職場となるような活動を行っています。また身体的な機能の衰えから、被災しやすいと考えられる高年齢作業者に対する安全教育・安全対策を実施し、災害の減少を図っています。尚、当社グループにおいて、過去30年以上にわたって従業員の死亡事故は発生しておりません。
災害内容 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
はさまれ・巻き込まれ | 5名 | 3名 | 3名 |
転倒 | 2名 | 2名 | 2名 |
その他 | 16名 | 13名 | 11名 |
対象範囲:(株)日清製粉グループ本社、日清製粉(株)、(株)日清製粉ウェルナ、日清ファルマ(株)、日清エンジニアリング(株)、オリエンタル酵母工業(株)、(株)NBCメッシュテックの事業場を対象(子会社及び海外の事業場は含まない)
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|
日清製粉グループ※2 | 1.43 | 1.75 | 0.57 |
日本の全産業 | 2.09 | 2.06 | 2.14 |
日本の製造業 | 1.31 | 1.25 | 1.29 |
※1 LTI = 労働災害による死傷者数*/のべ実労働時間数 × 1,000,000
(*休業1日以上及び身体の一部または機能を失うものを含む)
※2 対象範囲:(株)日清製粉グループ本社、日清製粉(株)、(株)日清製粉ウェルナ、日清ファルマ(株)、日清エンジニアリング(株)、オリエンタル酵母工業(株)、(株)NBCメッシュテックの事業場を対象(子会社及び海外の事業場は含まない)
交通事故の件数は前年度より1割程増加しました。事故の種類としては、加害事故と双方不注意を合わせて全体の2.5割弱、自損事故が4割強を占めています。自損事故では駐車場内での接触が多く、また交差点での赤信号停止中や渋滞時の停止中に追突される被害事故あるいは追突する加害事故が多く見られました。また青信号で徒歩横断中に車に接触される事故も発生しており、青信号でも周囲の状況をよく確認して行動することが重要と注意喚起を行っています。
交通事故削減への取組みとして、動画を活用した危険予知活動の実施、ドライブレコーダー、安全装置・運転支援システムの導入推進等を実施し、事故防止に努めています。また交通事故発生事業場にて、原因分析、対策を立案し、さらに安全衛生管理室でその内容を確認してコメントを付け加えてグループ内に随時配信する等情報共有と水平展開を継続的に実施しています。
労働安全衛生活動
当社グループは労働安全衛生に関する独自の基準に基づいた監査を国内外の事業場で実施しています。災害発生時には、発生場所、発生状況、原因、対策をまとめ、働くすべての社員に周知を行い、労働災害防止に取り組んでいます。また、海外子会社へも本社の技術者や生産担当者を派遣して安全基準の徹底を図っています。
「機械へのはさまれ・巻き込まれ」による重大災害の防止
2023年度のはさまれ・巻き込まれによる被災者は前年度と同じ3名でした。回転する機械の故障対応などの非定常作業時に、誤って稼働部に手を入れてはさまれる災害が繰り返し発生しています。普段の作業と異なる非定常作業時には特に災害が発生しやすく、機械が稼働している場合には、まず機械を停止して作業を行うことを徹底し、使用している機械のリスクアセスメントを実施し、手がはさまれない構造へ機械を改造するなどのハード面での対策検討、作業手順書の改訂や注意喚起表示の実施、危険予知活動の推進、安全教育等のソフト面での対策を行い、作業内容と対策を各部署、他事業場へ水平展開するなど、再発防止を図っています。
労働安全衛生に関する研修
労働安全衛生に対する考え方を社員と共有し、安心して働ける職場づくりを実現するため、安全衛生に関する各種研修を実施しており、国内の主要事業会社及びその子会社の従業員を対象としています。研修は階層別に実施しており、研修の主な内容は次の通りです。
教育名称とプログラムの内容 | 対象者 | 受講者数(名) | ||
---|---|---|---|---|
2021 年度 |
2022 年度 |
2023 年度 |
||
安全担当者研修 事業場の安全衛生活動推進リーダーを対象に、事業場での安全衛生活動のレベルアップのための情報提供、交換、共有化の研修(1日コース/1回) |
安全衛生活動推進リーダー | 19 | 17 | 13 |
監督者安全研修 事業場で職長、または職長に該当する監督業務に従事する者に対して、能力向上を目的とした研修(3日コース/1回) |
職長及び同等監督者 | 18 | 40 | 42 |
安全管理者研修 事業場で安全管理者、または安全管理者と同等に組織の安全管理監督業務に従事する者に対して、能力向上を目的とした研修(2日コース/1回) |
安全管理者及び同等管理者 | 0※ | 13 | 12 |
監督者安全研修フォローアップ 監督者安全研修受講者の経年後再教育を目的とした研修(2日コース/1回) |
職長及び同等監督者 | 0※ | 15 | 16 |
新入社員安全研修(技能職社員) 工場の技能職新入社員全員に対して、入社時の安全教育を目的とした研修(半日コース/1回) |
技能職系新入社員 | 46 | 56 | 62 |
各種技術関連能力向上研修中の安全研修 技術関連(設備保全、分析技術等)能力向上研修参加者に対して、安全に関する能力向上を目的とした研修(2時間程度/1研修機会) |
技術関連能力向上研修受講者 | 88 | 65 | 80 |
※コロナ禍により中止
上記のほか、事業会社からの要請を受けて、はさまれ・巻き込まれ災害防止についての出張安全体感研修を実施することがあります。
社内表彰
当社グループでは、工場・研究所、営業部署を対象に休業災害・重大な通勤災害・火災のない拠点を安全優良事業場として表彰しています。
- 年間無災害表彰
- 対象:年間無災害が3年以上継続した事業場(優良事業場)、及び2年継続した事業場(進歩事業場)
- 無災害時間表彰
- 対象:無災害50万時間に達した事業場
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|
年間無災害表彰(優良事業場) | 9拠点 | 11拠点 | 15拠点 |
年間無災害表彰(進歩事業場) | 3拠点 | 6拠点 | 2拠点 |
無災害時間表彰 | 2拠点 | 4拠点 | 4拠点 |
対象範囲:(株)日清製粉グループ本社、日清製粉(株)、(株)日清製粉ウェルナ、日清ファルマ(株)、日清エンジニアリング(株)、オリエンタル酵母工業(株)、(株)NBCメッシュテックの事業場を対象(子会社及び海外の事業場は含まない)
協力会社等におけるキャパシティ・ビルディング/日清エンジニアリング(株)
- 工事現場関係の労働者の災害防止に寄与することを目的として、個々の工事現場の統括管理義務者が組織する「災害防止協議会」を設けています。自社と協力会社等の双方を協議会の構成員とし、積極的な安全衛生活動推進を求めています。
- 「災害防止協議会」は月1回以上開催することとし、作業場内の巡視、作業間の連絡・調整、安全衛生に関する諸行事、労働災害防止に関する事項等を協議し、関係者に周知徹底させています。
協力会社等に対する安全の要請/日清エンジニアリング(株)
- 工事現場ごとに新規入場する協力会社等に対し、次の事項をはじめとした安全衛生教育を実施しています。
- 安全に関する全般的な遵守事項
- 担当する作業内容に関連した安全対策
- 緊急時の処置及び連絡
- また、「工事協力会社作業管理基準」を設け、自社と協力会社が協力して安全かつ円滑な工事運営体制、安全施工のためのサイクル、工事管理、災害・事故報告について定めています。
感染予防策
食品メーカーとしての供給責任を果たすべく、新型コロナウイルスを含め感染症に対し、日常での予防対策、発生時の対応手順を明示し、状況に応じては対策本部を設置するなど、速やかに、全従業員への周知を図るとともに、発生時の報告体制を明確化することで、感染症の拡大防止に努めています。
グローバルに事業を展開するうえでは、当社グループが事業展開する東南アジアで広がる「マラリア」等について、赴任する社員に感染予防対策の指導をしています。また、不慮の障害、感染症を含む疾病に罹患した際に適切な治療が受けられるよう、医療機関の紹介や手配を行う「海外医療アシスタンス制度」を導入しています。