ホットサンドの代表選手は、なんといっても「クロック・ムッシュ(croque-monsieur)」。パン・ド・ミに薄切りグリュイエールチーズとハムをはさんで焼いたもので、1910年頃、パリのオペラ座近く、カピュシーヌ大通りのカフェで軽食用に登場したのが最初といわれています。
フランス語の「croquer(カリカリ噛む)」と「monsieur(紳士、男性)」が合わさった名前は、直訳すると「カリカリおじさん」。かじると音がしてパン屑がぽろぽろこぼれるため、もっぱら男性が好んで食べていたからだとか。今でもフランスのカフェやブラスリーの代表的な軽食で、定番の人気メニューです。なかなかのロングセラーですね!
フランスでも、きのこや野菜、サーモン等いろいろな食材をプラスした贅沢アレンジを見かけますが、基本はやっぱりハムとチーズ!シンプルなものが一番です。ただし、チーズとハムのセレクトとベシャメルソース作りには手を抜かないで。シンプルなメニューこそ素材が命。おいしいチーズ、おいしいハムを使って初めて実感できるおいしさなのです。
※ベシャメルソースはぜひ手作りで。レシピはこちら。
※家庭で作るなら、グリルの直火で焼くのがおすすめ。短時間で香ばしく焼き上がる。
ベシャメルソースは、ほどよいコクをプラスできる量を見極めましょう。コクと軽やかな後味の両立がおいしさを印象づけます。私のおすすめは、パンの内側には塗らず、上面に少量だけ塗ること。まずはレシピの分量通り塗ってみてください。ベシャメルソースの上にチーズをのせて焼くと、チーズがなめらかにとろけてキレイに仕上がります。チーズとベシャメルソースが溶け合わさったバランスも◎。
仕上げの粗挽き黒こしょうは、ひとふりでぐっと味が引き締まり、あるとないでは大違い。ほんの少しで、おいしさを大きく左右します。また、仕上がりの印象を左右するのは、挽き方の粗さ加減です。同じ粗挽きでも、市販品は細か過ぎ。粒を粗く砕いたものは、ひとふりでも存在感があるんです。いろいろな食材を添えなくても、華やかさはなくても、「粗く砕いた黒こしょう」ひとふりでプロっぽい一皿に。
すり鉢(スパイスグラインダー)を使うか、なければまな板の上に粒こしょうを置き、その上に小鍋をのせて体重をかけてつぶしましょう(こちらを参照)。砕きたては香りも違いますよ!
ホットサンド、しかもチーズを使ったものとなると、シャッターチャンスが限られます。アツアツの焼きたてを、ベシャメルソースとチーズがグツグツしているうちにサッと撮りましょう。焼き始める前に、カメラ、撮影テーブル、お皿などの準備を整えて。撮影に手間取っていると冷めちゃいますよ!手早く済ませて、アツアツのおいしいタイミングで召し上がれ。
基本のクロック・ムッシュに目玉焼きをのせたものが、クロック・マダム。たまごの黄身を半熟に仕上げるのがポイントです。目玉焼きには、黒こしょうだけでなく、塩もひとつまみふりかけて。黄身をとろーり、ソース代わりにからめながらいただくのがたまりません。
#シンプルイズザサンド