とろーり熱々のグラタンやクリーミーなシチューが恋しくなる今日この頃。冬のおすすめNo.1はクロック・ムッシュ!パリの老舗カフェで誕生したといわれる伝説的なサンドイッチです。
ハムとチーズとベシャメルソースの魅惑的なマリアージュが魅力ですが、当初のレシピにはベシャメルソースはなかった模様。ハムとチーズをはさんでカリッと焼いた、極めてシンプルなホットサンドだったようです。
一見おしゃれなメニュー名はフランス語マジック。実は、クロックはフランス語でカリカリ、ムッシュは紳士。直訳すると「カリカリおじさん」なんです。かじると音がしてパン屑もぽろぽろこぼれるため、もっぱら男性が好んで食べていたからだとか。今ではフランスでもベシャメルソースを使ったものが主流で、野菜をプラスしたものも見かけます。
今回ご紹介するのは、そんなベシャメルソース&野菜入りのリッチなタイプ。でもオープンサンドなので、パンは1枚ですよ。ほっくりとやさしい味わいのかぼちゃが、チーズとベシャメルソースによく合います。市販のホワイトソースを使えば手軽ですが、手作りにもぜひ挑戦してみてください!
ベシャメルソース(sauce béchamel)とは、バターと小麦粉と牛乳で作るフランス料理の基本のソースのひとつで、ホワイトソースとも呼ばれます。材料も作り方もシンプルなソースですが、ダマになりやすいので手作りを避ける方も多いようです。
ダマを防ぐポイントは、バターと小麦粉をしっかりと炒めること!木べらで混ぜながら炒めていると、初めはほんの少しの粘り気を感じ、徐々にどろりとしてきます。それがある瞬間、ふっと手が軽くなり「サラッ」とした液状に変化します。この「サラッ」が小麦粉に火が通ったサインです。しっかり火を入れながらも白く仕上げたいので、火加減に注意です。
そこに加える牛乳を、温めておくのもポイントです。冷蔵庫から出したての冷たいままではダメ。温度帯を揃えてから合わせることで、なめらかになります。ここでは泡立て器を使い、弱火にかけて混ぜながら加熱しましょう。写真のようにぽったりとしたらできあがり。塩、白こしょう、ナツメグを加えて味を調えます。完成したベシャメルソースはボウルに移し、表面が乾燥しないよう、落としラップ(落とし蓋のように表面にラップを落とす)をしておきます。
ちなみに、クレーム・パティシエール(カスタードクリーム)もポイントは同じです。「サラッ」っとする瞬間がわかると、手作りするのがたのしくなりますよ!
やさしい甘みとほっくりとした食感のかぼちゃは、ベシャメルソースとの相性が抜群です。サンドイッチに使う時は、スライスしてから電子レンジで加熱すると簡単便利。ふわっとラップをかけて3分。あとは様子を見て調整します。
実は私、電子レンジはほとんど使いません。手軽ですが、やっぱり火を使った方がおいしいからです。でも、サンドイッチに使うかぼちゃだけは別。スライスしてからでも崩れにくく、短時間でほっくり甘く仕上がります。オープンサンドはもちろん、普通のサンドイッチでもぜひ試してみてください。
私、ハムの会社に16年間勤めていました。なので、ハムにはいろいろとこだわりがあります。安いハムには安い理由が、高いハムには高い理由がある。それをわかっているので、我が家でサンドイッチを作る時は、最上級ではなくとも、ちょっといいハムを使います。だってその方がおいしいから。せっかくおいしいパン屋さんでパンを買って来ても、ハムがチープだとサンドイッチは台無しです。ひと手間かけてベシャメルソースから手作りするなら、ここもぬかりなく!
かぼちゃは緑黄色野菜ならではの栄養価が高い野菜です。“βカロテン”や“ビタミンE”といった脂溶性ビタミンが豊富なため、今回のレシピのように、脂質が含まれるチーズやハムと一緒に摂ることで吸収率が高まります。また、“βカロテン”と“ビタミンE”はどちらも抗酸化作用があり、体の中からきれいに若々しくなりたい方におすすめです。
管理栄養士 鈴木あすな