眩しい陽光を浴びながら、サンドイッチを携えて出かける春の日。
多少遠征しても、バッグが揺れても大丈夫。なぜならば今日は、ちょっとやそっとのことでは壊れないドイツパン、しっかりと身が詰まったベルリーナラントブロートのサンドイッチだから。
今日はビール日和に違いない。わたしは普段はビールをのまないけれど、ドイツパンの香りがビールを合わせたらおいしいよ、と主張している。
気候のせいかもしれない。
そしてドイツパンは、ポテトサラダにも、とてもよく合う。
我が家のコイヌたち(そういえば、ドイツ原産種)も穀物のいい香りに鼻をひくひくさせて、いつのまにか、集まってきている。
ほくほくに茹でてマッシュした新ジャガと空豆だけのサンドイッチは季節の味がする。空豆の代わりに菜の花を、あるいはアスパラガスをはさんでもいいし、茹でたまごやハムをはさむこともできる。シンプルで簡単なサンドイッチは、家の定番になり、そのバリエーションを増やしていく。
わたしはこういうのを、スローでクイックなサンドイッチ、と呼んでいる。
スロースロークイッククイック・・・・・・とダンスみたいだけれども。すぐできて簡単なのに、豊かで満ち足りた気持ちになれるのは、パン屋さんが最初に時間をかけてくれているからだと思う。
手間や時間をかけてつくられた、ほんとうにおいしいパンには、何種類もの複雑な具材やソースはいらない。そんなふうに思う。
パンとそのまわりの人々を取材、All Aboutで情報発信中。Bread+something good(パンと何かいいもの)をテーマに関連企画のコーディネート、執筆多数。
著書『日々のパン手帖~パンを愉しむsomething good』他