アフォガードは、イタリア語で「溺れた」という形容詞。ラスクの浸し具合によって食感の変化をたのしめます。コーヒーやカフェオレでもお試しを。
※はちみつで代用可能
※※他の茶葉で代用可能
子ども時代に憧れていたことの一つに、真夜中のティーパーティがある。人間が寝静まった頃、森の動物たちが星の下でパーティをする場面を絵本で見たのだ。その秘密めいた雰囲気が、子どもの私にはたまらなく魅力的だった。
ルームシェアをしている友達にそれを話すと「今からやろう!」と。「えー、本気?」と笑いつつ、私たちは準備をはじめた。時刻はもうすぐ明日。
バゲットを細く切り、バターとグラニュー糖を混ぜて塗ってオーブントースターへ。スティックラスクを焼き上げた。冷ましている間に、ジンジャーミルクティを煮出す。
それらを手提げに入れ、静まり返った夜の街へ。空気はシンと冷えていて、胸はワクワクと弾んでいる。
昼間とは打って変わって誰もいない丘の上の公園。ここが今夜のパーティ会場。ホーローのマグカップに熱々のジンジャーミルクティを注ぎ合い、スティックラスクを浸して食べる。
ちょっと浸してカリカリと。たっぷり浸してしっとりと。どのタイミングが一番好きかをヒソヒソと話す。そんなことを小声で話しているのがおかしくてクスクス笑う。
辺りにはバターの甘い香りが漂い、頭上には星が輝いている。大人の私にも真夜中のパーティはやっぱり魅力的なものだった。