ローカルパンにも、2つ方向性あるかなと思っていて。酒井さんが提唱していらっしゃるようなローカルパン。

はい。それともうひとつ、パン屋さん系はローカルパンと呼ぶかどうか、微妙なところあると思うんですけれど、僕の定義だと「共作」してたらローカルパンと言っていいんじゃないかなと。

1個のパン屋さんの人気商品じゃなくて、いろんなパン屋さんに広まっていると、それは地域に根付いていると言っていいんじゃないかなと。

そうなんです！　そういう地域共作系を僕は選んでみました。

カレー粉を混ぜ込んだ生地にソーセージ入れて揚げるっていう素朴極まりないパンですが、意外とこれが侮れない。パン粉がクルトンみたいになっているのは、ココ・キラリさんの工夫なんですけれど。

カレー粉を入れた生地にソーセージというのがニューバードの基本形。カレーフィリングも入れてカレーパンに寄せるのは、ココ・キラリさんが工夫を凝らしている部分ですね。

ソーセージがカレーと合わさることで、おいしさがすごく持ち上がってますよね。

店名じゃなくて商品名です。ニューバードっていうパンを、京都ではいろんなパン屋さんが作っているんです。もともと「バード」っていうパン屋さんがあってそこで考案された。

言うらしいですよ。みんな知ってるものらしいです。京都というとおっとりした感じですけど、これは味的にはかなりアグレッシブ。

これもやっぱり命名のすごさですよね。「ベタってつけるからベタチョコ」ぐらいの、あんまり深く考えない。「店名バードやから、ニューバードにしよか」って。それが魅力というか、そこまで考えずにいることが逆に難しい。

イギリスパンだから「イギリストースト」だとか。

たしかに。現象自体がめちゃめちゃ盛り上がっていたら、考える必要ないですよね。

そうか、耳という支えがないから、中心は沈みがちと。

これ、「シナモンロールの法則」が当てはまりますよね。中心に行けば行くほど、きつく巻かれるので、シナモンシュガーの密度が高くなって甘くなり、端から食べていくと、ある種の到達感、ご褒美感がある。

数センチのパンの中で冒険ができる。

シンプルなパンなので、食パンのおいしさもわかりますよね。

すごく多いんですけれど、有名どころが、スーパーの中にある「ロミオ」っていうお店。

行ってるんですか！（笑）　そこはクリームにコクがあるんですよ。あと「チロル」は、山食パンでやっていて、クリームを塗ってからしっかり焼いているので、香ばしさがあって、パリパリ感があるんですよね。そういう個性が面白かったり。

素朴なんですけど、なんかうまいっていう、ミラクルな存在ですよね。

これはですね、「ポテチパン」なんです。横須賀のローカルパンで、ポテチを混ぜたキャベツをはさんでるっていう、すごい発明なんですよね。

中井パン店のご主人は、御年71歳の方なんですが、もう体を悪くしていらっしゃって、いつ閉店しようかっていう決意を心に秘めながらやっている方なんですよ。

戦後すぐからやっている店で、発酵をとる機械も、普通は電気なんですけれど、いまだにグツグツお湯炊いてやってたりとか、そんな感じの昔ながらのたたずまいの店なんですけれど。それで、酒井さんが食べるんですよっていったら、「いやぁ、俺ゴスペラーズファンなんだよ」って。

これが「ちくわパン」、これが「ヒーハー」。

ポテトフライにハバネロかけているので「ヒーハー」っていう、カラムーチョ的なネーミング（笑）。

これ、バジルではなくて青のりなんです。

カルビーのポテトチップス「青のり」もあるのに、あえて「うす塩味」を使って、青のりは独自に入れるっていうのが（笑）。

そうそう、「酒井さんに『ねじり』持ってけ」って、この揚げパンいただいてしまいました。

ねじることによっておもしろい食感を出していますね。

横須賀は懐かしいパン屋さんが残っていて、元気なんですよ。今って、高齢化したパン屋さんが実はどんどんなくなっていってたりするんですけど。

メッセージ伝えさせていただきます！

いろいろ食べてきましたが、ハンターが考える、ローカルパンの魅力ってなんでしょうか？

そうですね。一つのパンに記憶だったり、みんなの共通体験が乗っかっている。