パン×ワイン(ボジョレー・ヌーヴォー)
ボジョレー・ヌーヴォーとは?
もともとはフランス・ブルゴーニュ地方、ボジョレー地区の収穫祭を祝うための新酒でしたが、収穫後すぐに楽しめるワインとして世界中で人気のワインとなっています。
ボジョレー地区では白ワインやロゼワインも作られていますが、ほとんどがガメ種から作られる赤ワインです。ちなみに白ワインはボジョレー・ヌーヴォーとして認められていません。
ボジョレー・ヌーヴォーの魅力はルビーのような色彩と、フレッシュでフルーティな味わいにあります。その特徴を生み出しているのは、ボジョレー地区独特のワインの作り方にあります。通常は発酵の前にぶどうを破砕しますが、この地区では収穫した『ぶどうの房』をそのままタンクに入れて発酵させます。
これによりぶどう自身の重さでぶどうが潰れて流れでた果汁で、自然に発酵が始まります。
タンクの中には炭酸ガスが充満し、ぶどうの実の内部で様々な成分が生成され、独特の風味が生まれます。
そして皮からは色素が溶け出し、タンニンの少ないきれいなルビー色のワインができあがります。熟成期間も短いので、果汁そのままのフレッシュさとぶどうの風味を感じることができます。解禁日は毎年11月の第3木曜日と定められていて、本国フランスより早く解禁日が来る日本では、毎年大きな盛り上がりをみせています。
パンとのペアリング
ボジョレー・ヌーヴォーは、それ自身が軽めで癖が無くフルーティなので、さっぱりとした魚介類、フルーティなものと相性が良く、パンを選ぶときも、バゲットやミッシュブロート、フルーツ入りのものがおすすめです。ピザを選ぶならシーフードやマルゲリータとの相性がよいです。
最近ではボジョレー・ヌーヴォーの解禁を家族や友人と楽しむ『ボジョパ』というイベントが話題になっていますが、そんなときにぴったりのパーティーメニューとして、『バゲットのファルシ』はいかがでしょうか。
作り方は簡単!バゲットの中のクラムをナイフでくり抜き、クリームチーズやサワークリームで和えた具材を詰めるだけです。
※このメニューのアレンジとして、『デザートファルシ』もおすすめです。
グラニュー糖を加えたクリームチーズに洋酒を効かせたドライフルーツやナッツを入れて作ると、オードブルとしても、デザートとしても美味しく召し上がっていただけます。
※作って冷蔵庫にストックしておけば、いつでも切ってすぐに出せてとっても便利!
おしゃれなおつまみを手軽に楽しむことができます。
ミッシュブロート + 鯖缶で作るリエット
ボジョレーに良く合うミッシュブロートには、人気の鯖缶を使ったリエットを組み合せました。肉のリエットよりもさっぱりとした味わいで、軽快なボジョレーとも良く合います。手軽な鯖缶ですが、レモン汁や生ハーブ、フレンチマスタードを効かせると爽やかな味わいになり、ボジョレーのもつ、ぶどうのフレッシュな味と香りと調和し、奥行がでます。ミッシュブロートの特徴である軽い酸味としっとりとしたクラムは、全体を美味しく引き立ててくれ、ワインが進むこと請け合いです。パンにこだわると、ワインの世界も広がります。
パン×ワイン(赤ワイン)
ぶどうの旨味を凝縮したような果実感とタンニンの渋味が加わり、複雑で奥深い味わいの赤ワインはそれに負けないしっかりとした味とよくあうので、パンもライ麦パンにベリーや、レーズン、ナッツが入ったものを合わせ、少し個性のあるチーズを添えれば、手軽にステキなワインのお供になります。
ディナーメニューとして、赤ワインを料理とあわせるときは味のしっかりしたものを合わせます。赤ワインの持つ苦味が、旨味や甘味の強いものと合わせることにより、バランスを整え、より美味しく感じる効果があるからです。そのときパンは美味しさを引き立てるシンプルなフランスパン等を選びます。クラムの部分が多いブールは粉の甘味を感じられリセット効果もあり、ワインも料理も最後まで美味しくいただくことができ、おすすめです。
ミニブール + ビーフシチュー
フランスパンの生地で作るブールは丸い形とクラムの部分が多いのが特徴で、優しい食感が人気のフランスパンです。中でも小さめのサイズのブールは、くり抜いてシチュー等を入れて食べると、見た目も可愛らしく、テーブルが華やぎます。是非試していただきたいパンメニューです。
作り方は上の部分をスライスし、中をくり抜いてバターを薄く塗り、シチューを入れて、トースターで焼くだけです。
カリッと焼いたパンの器に入ったビーフシチューは格別の美味しさです。もちろん、器のパンもシチューをつけながら、美味しくいただけます。
忙しくて料理を作る時間が無い時は、手軽にレトルトのビーフシチューを利用してはどうでしょうか。お家にある野菜を加えたり、アレンジひとつでとっても楽しい食卓になります。手軽な女子会メニューにもいかがですか。
他にバゲットとサラミのカスクートもおすすめです。サラミの塩気とたっぷりのバターをバゲットに合わせます。シンプルな食材と合わせるとき、バゲットのクラストの香ばしさやカリッとした食感はブールとは違った美味しさを感じさせてくれます。サラミの塩気は赤ワインの渋味と良く合い、バターのコクがワインの味と調和します。
良くあるバゲットとワインの組み合わせですが、具材によりひと味違った美味しさを楽しめます。
パン×ワイン(スパークリングワイン)
スパークリングワインは気泡をともなったワインのことで、炭酸が上手くバランスをとってくれるため、どんな食事とも相性が良いと言われていますが、味が濃厚で軽い食感のクロワッサンやブリオッシュとの相性は特に良く、それだけでも充分美味しくいただけます。
お気に入りのお店のパンを用意したら、是非アレンジしたパン料理も楽しんで下さい。
手軽な材料で素敵にアレンジすれば、人が集まる席でも楽しめて、パンが食卓に彩りをそえてくれます。
クロワッサン + 生のフルーツとマスカルポーネ
クロワッサンを横にスライスし、はちみつを加えたマスカルポーネをたっぷり塗ります。季節のフルーツを彩りよくのせて出来上がりです。あれば仕上げに粉糖を振ると、ワンランク上のデザートパンに仕上がります。
サックリ軽い食感のクロワッサンとスパークリングワインやの軽さが良く合い、フレッシュフルーツとチーズの爽やかさが、ワインの酸味と良く合います。
お食事向きのメニューとしては、クロワッサンとガッカモーレ&エビのサンドイッチもおすすめです。クロワッサンのバターやアボカドの濃厚な風味を炭酸がさっぱりとさせてくれ、エビの甘味を引き立てます。レモンを効かせたガッカモーレの酸味とワインの酸味も調和し、軽くつまみながら、ワインが進みます。どなたにも喜んでいただける1品です。
ワインの特徴に合わせたパンをご紹介しましたが、ワインもパンも種類は豊富で、ご紹介しきれない組み合わせもたくさんあります。
パンはワインの本場では古くから相性の良いものとして親しまれてきました。発酵の力を借りてどちらも奥深い味わいをもっています。
ワインの美味しい季節です、自分だけの特別な組み合わせをみつけて、パンの新しい美味しさを発見してみてください。
パンコーディネーターアドバンス。パン料理のレシピ開発を得意とし、JPCA公認 製パン&ペアリングコース講師を務める。表参道にて、パン教室「オランジュ」(http://orange-bread.com/)を主宰。