- ホーム
- グループについて
- NISSHIN Stories
- 食品廃棄物もエネルギーに!マ・ マーマカロニ神戸工場が成し遂げた地域密着型のカーボンニュートラル
食品廃棄物もエネルギーに!
マ・ マーマカロニ神戸工場が成し遂げた
地域密着型のカーボンニュートラル

日清製粉ウェルナが販売するマ・マー「THE PASTA」や「超もち生パスタ 」シリーズなどの冷凍パスタ。その製造を担うマ・マーマカロニ神戸工場が、CO2排出量実質ゼロ、カーボンニュートラルを実現した 。同取組みは、食品廃棄物※を活用したバイオマス発電と環境負荷が低い蒸気の活用がカギとなっている。資源を捨てずに循環させる「サーキュラーエコノミー(循環経済)」と「カーボンニュートラル」をどう実現させたのか、枠組み作りを主導した2人に聞いた。
※生産切り替え時や清掃時に発生する少量の麺やソースの残り、検査等に使用した製品などが含まれる。

PROFILE
マ・マーマカロニ 取締役 神戸工場工場長
高久 尚裕(左)
2001年に日清製粉食品部門 (現 日清製粉ウェルナ)入社。入社以来、品質管理・品質保証を中心に、生産管理も担当。国内工場及び本社勤務の後、タイ、インドネシアに赴任。日清製粉プレミックスの工場品質保証責任者などを経て現職。
日清製粉ウェルナ生産本部生産戦略部 主査
栁田 浩志(右)
2008年に日清フーズ(同上)に入社。生産技術開発部、生産統括部、生産戦略部などを経て現職。国内外の拠点(工場、営業、研究開発)の設備管理、労働安全、環境管理、DXなどの支援に携わる。
従来型の努力だけでは、環境目標の達成は難しい

はじまりは、マ・マーマカロニ神戸工場の工場長を務める高久さんによる、ある”再発見”だった。
「赴任してすぐの2023年に、工場で使用する蒸気の全量を供給してくださっている甲南ユーテイリテイ様を訪れた際、化石由来燃料でなく建築廃材などを使った環境負荷が低い木質バイオマスを主な燃料として蒸気を生産していることを知りました。その環境価値の高さを、当社の環境施策にうまく活かせないかと栁田さんに相談したことから、今回の取組みがスタートしました」
その背景には、「CO2排出量を2030年度までに2013年度比50%以上削減、2050年までに実質ゼロにする」という日清製粉グループの環境目標がある。これは同時に日清製粉ウェルナの環境目標でもある。会社の継続的な発展には、売上げなどの“成長”と、品質管理や環境などの“維持”の両方の観点が重要だ。日清製粉ウェルナで品質管理や環境管理に携わってきた、高久さん・栁田さんは、こう明かす。
「とくに最近、環境課題に対して会社一丸でしっかりやっていこうという姿勢を色濃く感じます。ただ、省エネや生産効率化といった従来の努力の延長では目標達成がなかなか難しいため、新しい施策を模索していました。
そんな中で舞い込んだのが、高久さんからの相談でした。すぐに『ぜひやってみたいです!』とお答えし、神戸工場の主要なエネルギー源である電気と蒸気の両方について、CO2排出量削減の新たな手法を検討することになりました」(栁田さん)
解決のカギは、意外にも“すぐ近く”にあった
こうして動き出した、神戸工場のCO2排出量削減に向けた新たな取組み。実際に電気について構築されたのは、こんなエネルギーの流れだった。
「もともと神戸工場は敷地の関係で、太陽光発電の設備を置くことは難しい状況でした。そこで次に目を向けたのが、食品生産でどうしても出てしまう“食品廃棄物”を使った、バイオマス発酵・発電でしたが、工場敷地内に発電設備を設けるのは、やはり無理でした」(高久さん)
そこで栁田さんが調べてみたところ、意外にも工場の近隣で、解決の糸口が見つかる。
「神戸工場の至近距離に本社を持つ大栄環境様が、バイオマス発電に積極的に取り組まれていることがわかったんです。先方とのやり取りの中から浮かび上がったのが、関西電力様にもご協力をいただいて、『食品廃棄物の回収→バイオマス発酵・発電→工場でCO2排出が実質ゼロの電力を使用』という循環を関西圏で完結させるスキームでした」
また、食品廃棄物は当然ながら大量には出ないため、食品廃棄物由来の電気だけで製造に必要なエネルギーを賄えるわけではない。賄いきれない電気は非化石証書※を活用してCO2をオフセット(実質再エネ調達)することで、電気については資源循環の仕組みも採り入れたカーボンニュートラル化の目途が立った。
- ※非化石証書:「非化石由来でつくられたエネルギーである」という価値を取引できるようにした証書。使用したエネルギーに同量の非化石証書を購入して充てることで、当該エネルギーのCO2排出量はゼロとみなせる。
一方の蒸気は、神戸工場でソースを調理したり麺をゆでたりする際の熱源として使用している。その蒸気の供給元である甲南ユーテイリテイは、長年かけて構築した、建築廃材などを活用した“木質バイオマス”の安定した調達ルートが強みで、神戸工場向けの蒸気を生産する燃料には木質バイオマスが約70%用いられてる。こうした環境が整っていたことで、工場全体のカーボンニュートラルへの道が開けた。
「今回、木質バイオマスを主な燃料としていたことで、非化石証書と同様の手法でCO2をオフセットできることが分かり、蒸気についてもカーボンニュートラルにできる目途が立ったんです」(栁田さん)
こうして実現した、神戸工場全体のカーボンニュートラル。この成果が加わることで、日清製粉ウェルナ傘下の自社拠点でのCO2排出量は13年度比50%減となり、同社のCO2排出量の2030年目標を、6年前倒しで達成する形となった。
「ただ非化石証書などを買うのではなく、食品廃棄物を利用して電気を作る資源循環の仕組みを採り入れたこと、それも当社冷凍パスタの最大の工場で実現できた点に、食品会社として大きな意義があると感じています。法令や国際ルールなどと照らし合わせながら取引条件を整備し、関係各社と契約を締結するのは大変でしたが、苦労するだけの価値は十分にありました」(栁田さん)
あわせて今回の取組みでは、こんなうれしい成果もあった。
「従業員の作業負荷の低減です。大栄環境様と当社が物理的に近距離にあることは大変重要なポイントで、食品廃棄物回収の時間帯や回数、回収方法のいずれもで効率化を実現したのです。当然ですが、カーボンニュートラルは単年だけやればいいのではなく、持続しなければいけません。だからこそ環境価値を高めるだけでなく、工場従業員の負荷低減も同時に実現し、とてもサステナブルな形で決着でき非常によかったと思っています」(高久さん)
エネルギーの流れとメリット


「製品としても魅力的で、環境にもやさしい製品」として広めたい

日清製粉グループの2030年度目標や2050年目標を達成するには、この先も様々な取組みを新規に立ち上げ、それを持続させる必要がある。それにあたって栁田さんは、神戸工場の取組みでもカギとなった食品廃棄物の再利用を、さらに推し進めたいと考えている。
「どうしても出てしまう食品廃棄物を燃料資源などの形で再利用することは、食品会社としての使命ともいえます。今後もライフワークとしてそこに向き合いたいと思っており、将来的にはグループのほかの工場でもサーキュラーエコノミー、カーボンニュートラル化が実現できるような横展開を目指していきたいです」(栁田さん)
一方で高久さんは、「より地域に根ざした環境施策」についても言及する。
「今回の取組みでは、同じコンビナート内や同じ関西圏内で資源やエネルギーをやりとりすることで、より高い環境価値が生まれました。近ければ近いほど、当然、輸送などで生じるCO2も少なくなります。したがって今後は、たとえば“神戸市の環”など、より狭いエリア内で完結する、“近くて小さな円の循環経済”も検討していこうと思っています」(高久さん)
そしてもう一つ、二人が思いを馳せるのが、環境に配慮した製品であることの訴求を通して、消費者の行動を変化させることだ。
「製造から流通、調理・喫食、廃棄にいたる“製品ライフサイクル”全体でのCO2排出量を示せるようになれば、『当社製品を選んでいただくことで、CO2排出をこれだけ抑えられます』といった形で打ち出すことも可能になります。お客様の行動の変化にもつなげられると思うので、そこにもぜひ注力していきたいです」(栁田さん)
「それには、物流も含めたサプライチェーン全体の努力とあわせ、電気や水をより細かく計測することなども求められます。DXの力も最大限活用しながら、ウェルナ一丸となって歩を進めていけたらいいですね」(高久さん)
バイオマス発電、小さな環で完結する循環経済、消費者の行動変容、様々な方面から環境課題に立ち向かい、「CO2排出実質ゼロ」を目指す日清製粉ウェルナ。マ・マーマカロニ神戸工場のカーボンニュートラル化は、そこへ向かう確かな一歩となるだろう。