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ベトナムの食を進化させる!
プレミックス工場新設プロジェクト
フライドチキン、天ぷら、ドーナツといったさまざまな料理を簡単・便利に調理できるプレミックス(調製粉)。
高品質な製品を均一に製造できるプレミックスは、外食・中食産業にとって欠かせない存在だ。
経済発展が続くASEAN地域を中心に需要が伸びている。
日清製粉ウェルナはベトナムに業務用プレミックス生産工場を建設。積極的な展開を進めている。
今後の戦略と展望について、ベトナム日清テクノミックの社長である小島さんに話を聞いた。
PROFILE
ベトナム日清テクノミック Co., Ltd.社長
小島 崇史
2001年入社。商品開発、広域営業等を担当。幅広い領域で経験を積むなかで海外事業に興味を持つ。海外経験ゼロからの猛勉強とアピールが実り、2012年に海外事業担当に。タイ、インドネシアでの勤務を経て、2018年より現職。
経済成長に伴い拡大するベトナムの
プレミックス市場
急激な経済成長が続き、間もなく人口が1億人を超えるベトナム。食の多様化・欧米化が進み、ファストフードチェーン、スーパーの惣菜、ベーカリーショップといったところでプレミックスを使った製品が増えてきている。そしてもう1つの大きな動きが、冷凍食品の製造拠点として他国からの需要が伸長していること。プレミックスを使ったエビフライや天ぷらといった冷凍食品がベトナムで製造され、日本やアメリカ・ヨーロッパ・韓国等へ輸出されている。
日清製粉グループでは、これまではタイで製造したプレミックスを輸出していたが、今後ますます拡大する需要に対応し、ASEAN戦略の土台を固めるため、2018年にベトナム現地法人の設立と業務用プレミックスの生産工場の建設を決定。その新会社の社長に抜擢されたのが、タイ、インドネシアでの勤務を経験し、ASEANの市場を知る小島さんだった。
ベトナムの人口推移
工場の新設によって競争力を強化
2018年冬、約1年後の稼働を目指して新工場の建設がスタート。それと並行して、小島さんたちは現地での人材の採用・教育と営業活動を進め、工場の稼働とともに出荷が垂直的に立ち上げられるよう体制を築いていった。
「工場がまだ稼働していないなかでお客様に製品の案内をしなければいけない。そこは非常に苦労しました。その時はしっかりしたR&Dルームもないので、タイからサンプルを貰うなどして対応しなければいけないことも多く、提案できる量も種類も限られていました。」
それでも精力的な営業活動の甲斐あり、徐々にお客様が増えてきた。また、「ベーカリーは日本と同じくモチモチした食感が好まれる」、「フライドチキン等の揚物は、どちらかというとガリガリとした食感のものが好まれる」といった、ベトナムの方の食の嗜好も掴んできた。
そして2020年1月に工場が稼働。最大生産能力は約9,000トン。製品を安定的に供給できるようになり、リードタイムや価格面での競争力も強化された。
日本No.1プレミックスメーカーとしての
「技術力」を強みに
そのうえでベトナム日清テクノミックの強みとなるのは、日本ナンバーワンの製粉・ミックスメーカーとしての「技術力」。新工場のR&Dルームも、「技術力」を活かすための重要な施設だ。フライ用とベーカリー用にそれぞれ設けた部屋には、フライヤーやオーブン等の機材が充実しており、あらゆるメニューに対応できる。このR&Dルームでお客様に製品のプレゼンテーションや、配合調整のための打合せ、さらに上手に作るためのレクチャー等を行っている。
「お客様の要望にあわせて、粉で作れるものは何でも作りますというスタンスでやっていますね。それに、プレミックスを売って終わりではなく、お客様が満足するレベルで最終製品が作れるようになるまでサポートします。こうした活動を通して、お客様から信頼され、愛される企業となることを目指しています。」
今後は、ベトナム国内でのシェアを拡大していくとともに、これまで小麦粉を使っていたお客様へのプレミックスの提案も進めていく。
「プレミックスを知ってはいるけど、要するに粉は粉でしょう?という感覚の方たちに対して、ミックスの本当の便利さをお伝えしたい。製品の質を高められるのはもちろん、原料を混ぜる手間が省けるとか、何種類もの原料をストックする必要もなくなるなど、「ただの粉じゃないんですよ!」というメリットをアピールしていきます。」
新たな食の世界をベトナムへ
さらに、ベトナムマーケットへ新たな食の提案も行っていきたいという。
「例えば、天ぷらは同じ東南アジアのタイやインドネシアでは非常にポピュラーなメニューですが、なぜかベトナムでは認知が低く、あまり食されていない。でもそれは、みんなおいしい天ぷらを知らないだけで、本当のおいしさに気付けば食べるようになると思っています。私たちの天ぷら粉が、ベトナムの人たちの食の広がりに貢献できたら嬉しいですね。」
ベトナムといえばフランスパンに似た「バインミー」というパンを使ったサンドイッチが有名だが、実はベーカリーもこれから拡大が期待できるジャンルなのだそう。
「バインミーは屋台等、街中のいたる所で買えますが、ドーナツやマフィン、ベーグル等もそろえたベーカリーショップがベトナムには本当に少ないんです。そういったベーカリーはプレミックスが活躍するものなので、少しずつお客様に提案をしながら裾野の拡大を図っています。」
将来的にはグループ連携を進め、酵母や製パン改良剤といった日清製粉グループ各社が製造するプレミックス以外の製品も販売する構想。日清製粉グループに頼めばワンストップで必要な原材料がそろう、という形を目指す。
最後に小島さんに今後の目標を聞くと、「まず近い将来、ベトナムナンバーワンのプレミックスメーカーとなり、ひいてはベトナム国内でも有数の食品メーカーとなりたい。」とはっきりした答えが返ってきた。
「ベトナムでの事業はまだ始まったばかりなので、やらなきゃいけない事も、やりたい事もできる事もたくさんあると思っています。タイ・インドネシア・ベトナムとスライドし、7年ずっと海外に居ると、結構いろんな人から「大変だね」とか、「そろそろ戻ってきたら?」とか言われるんですが、無用な心配というか。ダイナミックに成長する市場のなかで、さまざまな人や文化に触れながら仕事ができるのは、苦労も多いですが、本当に面白いんです。」