酵母は、発明の母。
パンを膨らませるのに欠かせない酵母。でも、仕事はそれだけではありません。
パンは日本人の食卓に欠かせない食べ物。総務省の家計調査によると、米とパンの年間支出金額は、2013年以降パンの支出金額が米を逆転。2022年時点では米20,397円、パン33,874円となっており※1、このことからも、日本人にとってパンは、大事な主食といえるでしょう。
ところで、パンづくりに欠かせない材料といえばなんでしょうか? 小麦粉、水、塩……そして、忘れてはいけないのが生地を膨らませるイースト、「酵母」です。つまり、パンづくりに必要な酵母を供給することは、日本の食を支えることにもつながるのです。オリエンタル酵母工業は、イースト国内シェアNo.1(約50%)※2の会社。
「酵母がなくなるとパンがつくれなくなる。生活者がパンを食べられなくなってしまうことだけは絶対にあってはならないという使命感がある」
そう語る社員もいるほど、オリエンタル酵母工業は責任と誇りを持って事業に取り組んでいます。また、製パン用イーストだけでなく、カスタードクリームなどのフラワーペーストや、ベーカリー業界での利用にとどまらない総菜(調理フィリング)・マヨネーズなど、良質な食品素材を幅広く開発・提供し、製菓業界、製麺業界、中食・外食業界にも貢献しています。
※1 総務省統計局「家計調査」(令和5年分より)
※2 当社調べ(2024年度9月時点)
おいしさを付与し長持ちさせる技術や、基礎医学研究などにも応用しています。
オリエンタル酵母工業は酵母の秘めた可能性を追求し、その研究成果をもとに人々の生活に貢献してきました。例えば、期限の短いお弁当・総菜の日持の向上や変色防止など、食品の品質向上をサポートする「日持・品質向上剤」の開発。おいしさを保ち、食品ロス削減にもつながるこの技術にも、「酵母」は役立っています。
酵母研究で培った技術を生かした、事業のもう一つの柱となるのが「バイオ事業」。創業から蓄積した酵母の研究を基礎として、幅広い分野でバイオテクノロジーを駆使し、再生医療や高齢者疾患・がん治療、ライフサイエンス等の各分野で研究開発の進展に寄与しています。
なかでも基礎医学研究においては、上流から下流までをカバーする多彩な製品・サービスをラインアップ。特に、酵素・補酵素をはじめとする診断薬原料等で高いシェアを有しています。また、ES/iPS細胞を用いた再生医療研究に使用される研究用試薬の製造・販売など、最先端の研究活動にも貢献しています。
パンを膨らませる、あの酵母から生まれた技術が、医療にまで生かされている。その応用領域に驚かれるかもしれません。「酵母は、発明の母。」という言葉には、まさに酵母に秘められた無限の可能性と、その力を引き出し、技術を発展させてきたオリエンタル酵母工業の歴史が込められているのです。
時代ごとに変わる、人や社会にとっての「なくてはならないもの」を探し、つくり、あらゆる人のもとへ
オリエンタル酵母工業は海を越え、新たな市場の開拓を積極的に推進しています。新市場としてとりわけ注目を集めているのがインドです。いま経済発展や人口増加の著しいインドでは、核家族化や女性の社会進出といった変化にともない、調理の手間が少なく、手軽に食べられるパンやサンドイッチの需要が急速に拡大しています。
その一方で、拡大する需要に対してイースト供給が追いつかないという課題も。その原因の一つが、排水規制の厳格化です。イースト製造工場は大量の水を使用しますが、当時、現地のイーストメーカーは規制強化に対応できず、パンの需要拡大に応じた増産体制を確保することが困難な状況でした。
このようなインド市場に参入すべく、2022年8月に稼働を開始したオリエンタル酵母工業のインド子会社の工場では、敷地外に排水しない「ゼロ排水システム」を導入することでこの課題をクリア。日本で長年にわたり培ってきた製造・品質管理ノウハウを生かし、品質が高く、安全・安心な生イーストをインドの人々に提供できるよう、取組みを続けています。オリエンタル酵母工業は日本のみならず、世界の食にとっての「なくてはならないもの」づくりにチャレンジしています。