「ふるい」は、新しいの始まりだ。

「ふるいの網」をつくる技術から生まれたメッシュテクノロジーは、さまざまな領域で活用されています
小麦粉づくりでは、小麦を細かく砕いてできた粉をふるいにかけ、粒子の大きさごとにふるい分けていきます。そこで使う“ふるい網”を昭和初期に国産化したのが、日清製粉グループのメッシュクロス事業の原点です。戦後、小麦粉の品質競争が激化する中で、ふるい網の素材も高メッシュ(網目がより細かいもの)で良質なものへと進化。また、戦後の産業発展に伴い、素材開発を進める中で、メッシュと樹脂を一体成形するテクノロジーが生まれ、機械製品の部品や医療用など多方面にわたって活用されるようになりました。
そこからさらに、小型化が進む電子部品や高精細化が進むプリント基板(身の回りのさまざまな電子機器に使用されている、電子回路が形成され電子部品が搭載された基板のこと。)向けの印刷に対応できるメッシュテクノロジー、スクリーン印刷(メッシュの網目からインクを通過させることで対象物へ印刷を行う工法)用メッシュクロスが発展していきました。現在では、ヘッドホンなどの音響機器や、自動車の走行安全性に関わる異物除去などを目的とした車載フィルター、燃料電池に必要な水素をつくり出す水素製造装置、スクリーン印刷技術を活用したソーラーパネルなど、身の回りのさまざまなものにNBCメッシュテックのメッシュテクノロジーを用いた素材が使われています。
メッシュというと、一般的にはろ過材や通気性を高めるための素材というイメージがあるかもしれません。しかしNBCメッシュテックではメッシュを「物質の変化や制御をも実現するテクノロジー」と捉えています。世の中にあるさまざまな素材が、メッシュを通すことで新しい価値を生み出していく。メッシュには、まだまだ無限の可能性が秘められています。

暮らしから環境まで、メッシュの新しい可能性に挑み続けています
メッシュテクノロジーを発展させ、豊かな暮らしや便利で安全な社会、地球環境課題に貢献しようと取り組んでいるNBCメッシュテック。「(自社の特徴は)チャレンジ精神が旺盛であること」「フットワークが軽く、自由度が高い」と発言する社員もいるように、挑戦を厭わない風土があります。そのチャレンジ精神の賜物として生まれたのがメッシュの表面を改質することで高機能化する技術「Nafitec®(ナフィテック)」。ナノ粒子を繊維に均一に固定させることで、小麦粉などの粉体が付着しにくいメッシュをつくることができるテクノロジーです。この技術を使い開発された「Nafitec®」ふるい網は、いままでより細かい目開きのふるい網での精度の高い異物除去が可能となり、より細かく、純度が高い粉体を生産することができるようになります。
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また、機能的な産業用資材とは異なる視点で、まったく新しい可能性も追求しています。その一つが「デザインメッシュ」です。織り方をアレンジすることで、光沢や独特の質感、角度による透け方の変化など、他の素材にはない美しさを引き出すことができるメッシュ。NBCメッシュテックではその特徴を生かし、装飾などのデザイン性の高い製品の企画・加工も行っています。
さらに、NBCメッシュテックは環境浄化に貢献するさまざまな製品を市場に供給しています。例えば、化石資源由来の樹脂素材ではなく、植物由来原料の樹脂で製造された糸を使用したバイオマスプラメッシュを開発。有限である化石資源の使用を削減し、カーボンニュートラルによってCO₂の増加の抑制に貢献できます。ほかにも、衛生的な水の供給、水素エネルギーの普及、太陽光発電の高効率化など、環境との共存、人々の健康づくりのためにメッシュテクノロジーが活用されています。
これからもメッシュテクノロジーを通じて、豊かな暮らしや便利で安全な社会、地球環境課題に貢献するために、さまざまな価値を提供していきます。
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時代ごとに変わる、人や社会にとっての「なくてはならないもの」を探し、つくり、あらゆる人のもとへ
メッシュテクノロジーの新たな用途や多彩な価値を発信してきたNBCメッシュテック。国内にとどまらずグローバル展開も積極的に進めており、これまでに約50カ国での取引実績を持ち、製品の約60%が海外のマーケットで使用されています。特にスクリーン印刷用のメッシュクロスは世界でもベスト3※1のシェアを誇ります。
そして現在、グローバル展開に向けた取組みが行われているのが、一価銅化合物を活用した革新的な抗ウイルス・抗菌技術「Cufitec®(キュフィテック)」です。この技術は、先にご紹介した「Nafitec®」の開発過程から生まれました。
「Nafitec®」の開発チームは、「抗ウイルス・抗菌性」にニーズがあることを認識していました。そこで目をつけたのが、「一価銅化合物ナノ粒子」です。この粒子は、銅イオンと活性酸素によってウイルスと細菌を制御する機能を持っています。「Nafitec®」の技術を応用すれば、この抗ウイルス・抗菌作用のある一価銅化合物ナノ粒子を、マスクなどの繊維表面に固定することは難しいことではありません。
そこで「Nafitec®」の技術を応用し、菌からウイルスまで範囲を広げた研究開発がスタート。2009年に「Cufitec®」の技術が誕生し、マスクをはじめ、カウンタークロス、ふき取りシート、防護服として続々と製品化しました。また新型コロナウイルス感染症が本格化した2020年2月には、「Cufitec®」マスクが瞬く間に完売するなど、大きな注目を集めました。
今後はグローバル展開を視野に入れるとともに、医療現場のような高度な清浄性が求められる環境だけでなく、多くの方が手を触れる環境も含め幅広い領域をカバーできる素材として、世界中に清潔・安心・快適を提供すること、いわば“Cufitec® inside”を常識にしていくことを目指しています。
NBCメッシュテックは、世界トップクラスの技術力、メッシュクロスの特性を生かした高品質かつ多彩な製品で、日本のみならず世界中のお客様のニーズに応えています。
※1 当社調べ(2024年度)
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