香りの強い野菜が好きですが、中でもクレソンは別格です。鮮烈な香りとぴりっとした辛み。パリパリと頬張ると身体が目覚めてくるようです。
春の野菜に分類されるクレソンですが、冬の間、雪山でも自生しています。長野の山の中で暮らす親戚と、お正月にクレソン狩りに出かけた時のこと。深い雪に埋もれた山道を小川に沿って登ると、沢にフワフワと浮いている緑のかたまりを見つけました。クレソンです。その生命力に驚かされると同時に、食べると元気になることも腑に落ちました。
そんなクレソンに、いちごを合わせるのが大好きです。クレソンの辛みといちごの甘みのコントラストが新鮮。バルサミコ酢で和えることで大人っぽい味わいにまとまります。春の気配を感じながら、ワインと一緒にたのしんでみてはいかがでしょうか。
ケーキといえばいちごのショートケーキ、フルーツサンドならいちごサンドが一番人気!と、スイーツ系において不動の地位を確立しているいちご。実は、サラダにもよく合うんです。
クレソンの爽やかな香りやぴりっとした辛みは、いちごとの相性がよく、組み合わせることでそれぞれの個性が際立ちます。バルサミコ酢といちごも間違いのない組み合わせ!子どもの頃は、いちごといえば練乳でしたが、今ではバルサミコ酢を合わせる方がしっくりくる程です。さらに生ハムをプラスしたり、クレソンをルッコラにかえても◯。
春のサラダの素材と考えると、いちごのたのしみがもっと広がります。
困ったときのバルサミコ酢!と我が家では欠かせない調味料です。
バルサミコ酢はぶどうの濃縮果汁から作られるイタリアの調味料。長期熟成が可能で、年代ものになる程においしさも価格も高くなります。私もイタリアで25年物の超高級バルサミコ酢を買ったことがありますが、どろりと濃厚で、濃縮した甘みと芳醇なコクがあり、極上の味わいです。これをいちごにかけるだけでとびきりのデザートになります。
普段使いには、スーパーで手に入る安価なバルサミコ酢で大丈夫。ドボドボと鍋に注ぎ、とろみがつくまで煮詰めます。ほんの少しの塩と白こしょうを加えれば、極上ソースのできあがり!冷めると思いのほかかたくなるので、少し緩めの状態で止めておきましょう。
仕上がりの状態を見るのに便利なのがスプーンです。スプーンで極少量をすくい指でなぞってみてください。指の跡が残りスプーンの地が見えていればOKです。
サラダにはもちろん、肉料理のソースにしても。これだけでプロの味に仕上がります。
いちごは見た目が可愛いだけでなく、コラーゲンの生成を促し美肌作りに欠かせない栄養素である“ビタミンC”を多く含む、女性にうれしい野菜です。また、緑黄色野菜のクレソンは“βカロテン”が豊富。“βカロテン”は体内で必要な分だけ“ビタミンA”に変換され、髪や粘膜、皮膚を健康に保つ働きがあります。
管理栄養士 鈴木あすな