卵とはちみつ、バターをからめて焼くことで、さっくり感と風味をアップさせました。飾り付けたドライフルーツが宝石のようでキュート。
今より少し若かった頃のお話です。その年のクリスマスはウィークデイ。彼はとっても忙しい人で、その夜も仕事で遅くなるとわかっていた私たちは、会う約束をしていませんでした。
でもやっぱり寂しかった私は、仕事から帰宅すると急いでお菓子を作り、彼の会社のそばで待つことに。ちょっとだけでも会えればいいなと。
カフェでお茶したり、にぎわう通りをフラフラ歩いたり、チラつく雪を眺めたり。
ようやく会えたのは、家族連れやカップルが去り、夜の静けさが戻った頃。イルミネーションが消える直前の街を二人で歩きました。たぶん、ほんの数十メートル。
その時、私が作って行ったのが、モミの木のラスクです。細かく切ったバタールをサクサクに焼いてチョコレートでコーティング。ドライフルーツやナッツで飾りつけた、手のひらにのっかる小さなツリー。
お皿もフォークも要らない、二人だけのささやかなクリスマスでした。
よし、これで準備完了。まもなく夫が同僚たちを連れて帰って来ます。テーブルの上には、シャンパンやチキン、所狭しと並べられたたくさんのご馳走。そして、モミの木のラスク。
さてさて、夫はあの夜のお散歩を思い出してくれるでしょうか。