パン屋さんに行くとつい見てしまうのが焼き菓子。私、焼き菓子が大好きなんです!フレッシュなムースやふわふわのジェノワーズよりも、しっかりと焼き込まれ(私はいつも「焼いた小麦粉」、と表現します)、こんがりと小麦色に仕上がった焼き菓子がとにかく大好き!小麦をしっかり焼いた時の香ばしい香り、それがバターと合わさり、あ~、なんておいしそうな香りなんでしょう!想像しただけでも幸せになりませんか?
私はパティスリーに並んでいる小洒落たお菓子よりも、パン屋さんが焼いた少しラフで不揃いな手作り感溢れるものの方が好み。あるとついつい買っちゃいます。
そんな私が今回ご紹介するのは、Le Supremeさんの焼き菓子。見た目にもかわいく、美しい職人の技が光るお菓子たちです。
まず『ポンヌフ』。ラズベリーの赤と粉糖の白が交差しているのが特徴のこのお菓子。キュートでしょう?かわいい姿が目を引きます。あまりに愛らしくて思わずトングで取ってしまいます。ポンヌフとはセーヌ川にかかるパリ最古の橋の名前。セーヌ川に浮かぶ「シテ島」を横切ってかけられた橋です。表面の十文字のパイが橋を、その他の生地がシテ島を表していて、その名が付けられたそうです。
サクッとしたパイ生地の中には、シュー生地。中にはとろーりとろけるカスタードクリーム。生クリームと合わせ、ラム酒で香りづけされています。このミルキーなクリームとラズベリーの酸味、そしてもっちりしたシュー生地とパイの軽い食感。これらがうまく調和して、とってもおいしいんです!冷蔵で売られていますので、まさにスイーツといった感じです。
お次は『ピティビエ』。このお菓子をお店で見つけた時、あれ?ガレットデロワ?と思いました。でも名前が違う。ん?材料は同じみたいよ。何が違うんでしょう。私なりに分析してみると、ピティビエの方が小ぶりで小さく(これは直径10㎝。)厚みがある。そしてアーモンドクリームがガレットデロワよりもたーっぷり!ガレットデロワはお一人様では食べられないけど、ピティビエは独り占めして一人でまるっと食べられちゃう!大勢で食べるのもたのしくていいけれど、ちょっと食べたいな~という時、このサイズはありがたいですね。
がぶっとかぶりつくと、ハラハラとパイ生地がこぼれ落ちます。丁寧に織り込まれたパイが最高にパリッパリなのです!このパリパリ、反則です!注意することはただひとつ。服を汚すこと間違いなしなので普段着で食べましょう。きれいにこぼさず食べきるには、相当の技が必要です。中には風味豊かなアーモンドクリーム。シンプルだからこそ、素材の味と食感が大切なお菓子です。
最近はガレットデロワを置いているブーランジェリーが日本でも増えましたが、ピティビエを置いているところはまだまだ少ないのでは?
最後は『コンベルサシオン』。パイ生地にクレームダマンドを敷き込み、表面にグラスロワイヤル(卵白と砂糖で作られている)を塗り、その上に格子状にパイ生地で模様を作り焼き上げたお菓子です。Le Supremeさんのものは栗入りです。素材は特に変わったものは使用されていませんが、美しい仕上がりに、職人の丁寧な技が感じられます。
表面に厚めに塗られたグラスロワイヤルのガリガリ感と、パイ生地のサクサク感のバランスが絶妙で、中のダマンドの甘さが丁度よく、ペロリと完食。気取らず手掴みでどうぞ。パクッといっちゃいましょう!
コンベルサシオンは本格的なフランス菓子のお店でしか置いていないことが多いのに、パン屋さんで買えるだなんて感激です!仲のいい友達とおしゃべりしながら食べましょう。コンベルサシオンは「会話」という意味なのですから。
シェフはフランスの伝統菓子を忠実に再現してそのおいしさを地元の人たちに伝えたい、という想いで、こういったお菓子を作られているそうです。ひとつひとつの基本的な作業を丁寧に。オリジナルを活かして、アレンジはあえて加えないように。手間はかかるけど、パンにはないシャープさやカタチの面白さがたのしくて、お店に並べています。
製法のこだわりで、パイ生地には必ずコンベクションオーブンを使用。そうすることでパイ生地の水分が抜け、浮きがよくサクサクに仕上がるのだそう。また色が均一につくのもコンベクションならでは。デニッシュの延長線上として、パンと分けずに並べているので、気軽にお手に取っていただけたら、とおっしゃっていました。
おいしいパンを焼いているパン屋さんには、必ずおいしいお菓子があると思います。パンのように日常的な気取らないお菓子、ぜひパンを買うついでにいかがですか?
※掲載されている内容は2017年1月5日現在の情報です。