Cooking Men料理男子紹介
あえてレシピを残さない。
未完を楽しむ釣り人料理男子
篠島 浩平Kohei Shinojima
- Age
- 40代
- Job
- 住宅系
- 料理こだわりエピソード
- 週末に魚を釣り、魚をはじめ付け合わせの食材を仕込み、平日をそれらの発酵期間にあてるといった、独自の一週間のサイクルを確立。常に成功しないことに魅力を感じ、妻からのレビューをモチベーションに料理に励む。
- 料理歴
- 30年以上
- 好きな調理道具
- ガスオーブン(パンを焼くために導入)
Interview
「釣る、熟成させる、妻に振舞う」を1サイクルにPDCAを回し続ける。
篠島 浩平さん
魚を中心とした一週間のサイクルを確立
生粋の釣り好きということもあり、料理の中でも魚料理を作ることが多いです。暮らしの中で、魚を中心とした一週間の定番サイクルがあって、週末に釣りへ行き、釣った魚を持ち帰り、平日の5日間を魚の熟成期間にあてます。その間、熟成具合の変化を楽しみながら少しずつ食べていき、最終的に土日に寿司にして食べます。そしてまた釣りです。この繰り返しがおおよそ僕の料理生活のスタンダードですね。
パンは酵母から手作り。目下「発酵」に熱中
最近はパン作りにも熱中しているので、魚を寝かせている期間に、パンの酵母も寝かせておきます。ブドウと砂糖と水で、酵母から手作りするパンは本当に美味しくて。お酒も好きなので、レモンサワーの素を仕込んで寝かせておくのも週末から平日にかけての作業。僕にとって平日とは、仕事+発酵の期間です(笑)。レモンサワーの素は簡単で、出し殻もドレッシングやソースなど料理に利用できるので、お酒の好きな方は自家製で漬けるのがおすすめです。
舌が肥えた妻からもらう評価が料理のモチベーションに
料理をふるまう相手は、基本的に妻です。妻が喜ぶものを作ってあげたくて、週末にはさまざまな料理をふるまいます。彼女も食べること、飲むことがとても好きで、僕からすると驚くほど舌が肥えている。ですから、当然いつも手放しに「美味しい」と言うわけにはいかず、微妙な食感や塩加減などのアドバイスをくれることも多いです。
そういった率直な感想や時に辛口となる評価が、実は僕にとっての料理のモチベーションになっていて。妻が「美味しいね」と言ってくれた時は100%美味しいのだと納得できます。先日は、釣り上げたマグロを漬けにして、出勤する妻に持たせました。彼女の職場のみなさんに「僕の作った漬け丼を食べてもらう」ことが、以前から掲げていたミッションのひとつだったので。おかげさまで妻をはじめ、同僚のみなさんからも高評価をいただけて安心しました。
作った先にある「食べる・食べてもらう」が喜び。
今は料理をふるまう相手は妻が中心となりましたが、思い返せば、料理に没頭するようになってからこれまでの間、長く料理を続けてきたのは、やはり食べてくれる人の存在があったからなのだと感じます。
大学時代に一人暮らしをしていた時は、週に1日は自宅で食事会を開いて、ゼミのメンバーに料理をふるまっていました。食事会の日は毎回仕込みで忙しくて僕はゼミをパスするので、食事をふるまう代わりにその日のゼミの内容を伝授してもらうという不思議な習慣ができあがっていましたね。
レストランやバーでアルバイトをしていた時も、何が楽しかったかと言えば、スタッフのためにまかないを作ること。僕にとっての料理のよさとは、作って終わりではなく、作ったその先に「食べる・食べてもらう」という2段階目があることなのだと思います。
料理の含有する「未完成感」に心を掴まれて。
料理をしていると、決していつも成功するわけではないし、全てが思いどおりにいくわけでもない。うまく言えないのですが、料理が含有するそんな「未完成感」に僕は心を掴まれます。
どこまでも創造性が高くて、どこまでも完成がない。ですから、僕はレシピを残しておくことはあまりしません。美味しくできても、次また同じように作ろうとは思わない。流動的に変化させながら、ひとつの料理の精度を上げていくのが好きです。
さきほど、直近で達成したミッション(妻の職場の皆さん漬け丼を振舞う)について、話しましたが、次のミッションももう決まっています。まずは、クロマグロを釣り上げること。そして上手に捌き、最高の熟成具合でもって寿司にすること。新しい1年もミッション達成となるように、料理に真摯に向き合っていきます。