Column男の探求コラム
「ローズシャンハイ」に教わる、プロレベルの皮の作り方 -モチモチ編-
自宅で手作り餃子を作るのであれば、自身が納得のできるものを作りたい。となれば、もちろん皮から作るに限る。しかし、餃子の皮が市販されているくらいだから、皮作りはそう簡単なものではないのは想像がつく。
作り慣れない人が初めから目分量で作ってしまっては、間違いなく失敗してしまうことだろう。そこで、まず初めに肝に銘じておいて欲しいのは、水、粉の分量を決して間違えないこと。適当に作ってしまうと、餃子の仕上がりはおろか、皮を円形に引き延ばすことや、餡を包むことすらできなくなってしまうという悲しい結末に終わることは目に見えている。逆を言えば、分量さえしっかりと守って作れば、皮は完成する。あとは包んで焼くだけ。とてもシンプルな料理だけに、ひとつずつの工程が仕上がりに大きな影響を与えてしまうのだ。そんなシビアな皮作りだが、もちろん仕上がりの好みにもこだわりたい。弾力のあるモチモチした皮がいいのか、それとも食感のなめらかなシコシコの生地がいいのか。いずれにしてもすべては配合次第だ。
ここでは、中国料理研究家であり、東京・新宿御苑で『幸せ中国料理 ローズ上海』を営む小薇(シャウウェイ)さんに、プロレベルの餃子の作り方を教わった。
モチモチ編
モチモチした皮の秘訣は、強力粉ともち粉。粘りのある粉で、合わせる水の温度も温めにすることで、食べ応えのある食感となる。
材料
薄力粉
150g
強力粉
150g
もち粉
50g
湯(60℃)
185ml
油、薄力粉
分量外
1. 作り方
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薄力粉、強力粉、もち粉を配合した計350g に60℃の湯185mlを数回に分けながら混ぜていく。
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気温や湿度により混ぜる水分量は多少調整するもの。5 ~ 10mlほどの誤差が生じる。
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すべての湯と粉が混ざり合ったらこねる。生地の中に含まれる空気を押し出すかのようにまんべんなく。
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生地が均一に混ざり合うまでこねる。よくこねることでより粘り強い生地へと仕上がるため、ここは根気よく。
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ダマを作り終えたら使用していたボールに少量の油を入れる。
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こねあげた生地のダマの表面に油を塗る。そうすることでラップをかけた際べとつかない。
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ラップをかけ冷蔵庫で30分ほど寝かせ馴染ませる。
2. 食感のすべてを左右する伸ばしの極意
餃子の皮を作る最終工程の"伸ばし"。あらかじめ作り寝かせておいた生地の原型となるダマを均一に伸ばし、1枚ずつの円形に形成し皮を作っていく。
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丸型に成形し寝かせていた生地を棒状に伸ばしていく作業。ダマ生地を作り、寝かした際に表面に油を塗っているため、改めてこねなおし油が均一に生地へと馴染むようにしておく。
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一定の太さとなるように生地を棒状に伸ばすのがポイント。目安は麺棒の太さと同じ程度。手近な道具で太さを見極めて均一な棒に成形しよう。
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ある程度伸びたら生地を分断し、ラップを掛けて寝かせる。皮が伸ばしやすくなる。
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餡を包む皮が均等になるように切り分けも均等に。ひとつおよそ15gを目安に切断していく。もちろん、食べられるだけ、作れるだけの量を切り分けることは重要なポイントだ。
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ほぼ均等に切り分けた皮の原型。薄力粉をまぶす。そうすることで、皮の生地の表面、さらには焼き上がりの皮の食感に大きな違いが出るのだというから面白い。
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一口サイズに切り離した皮生地を手のひらで押しつぶし、円形にする。手の平のくぼみが生地の中央部のふくらみを生む。
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手で押しつぶした円形の皮のフチを左手で持ち、右手は麺棒を持ち皮の半分まで押し引きし、伸ばす。左手で皮を反時計回りに回転させる。
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生地を回し、麺棒を当て薄く伸ばすこと10回から12回ほど。薄くなりすぎないように、きれいな円型になるように、ほぼ均一に伸ばすことができるようになるまで練習は必要だ。
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餡を乗せる中央部分はやや厚めに残しながら、外側の端部分から薄く伸ばすことで、餡を包みやすくなるほか、破れにくい皮を作ることができるこの作り方を採用する餃子店は多い。
POINT
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ジューシーな餡を閉じ込めるため、ある程度、皮の中央には厚みを持たせておきたいもの。やや盛り上がっているのが確認できる。
講師はこの人!
中国料理研究家/ローズ上海 代表
シャウ・ウェイさん
朝日カルチャーセンターでの中国家庭料理教室で人気を博し、『ELLE gourmet』(ハースト婦人画報社刊)、『FOOD DICTIONARY 中華』(エイ出版社刊)をはじめとした各メディアでの中国料理監修を多々手掛ける。自身が展開する料理教室『シャウ・ウェイの幸せ中国家庭料理』でも支持を集め、経験を活かしモダンチャイニーズ料理店『ローズ上海』を2016年5月に開業。
DATA:ローズ上海
住所/東京都新宿区新宿1-2-6 御苑花忠ビル B1F
TEL/03-6273-0399
営業/11:30~15:00、18:00~21:30(L.O)、土・日・祝11:30~22:00(L.O)
休み/不定休
出典:「#餃子部」(株式会社エイ出版社)