Column男の探求コラム
日本で見るのはごく一部! 本場メキシコの定番タコスとは
タコスの魅力は何でもアリなところ
タコスというと、タコミートとレタスやトマトなどの野菜、チーズをトルティーヤで挟んだもの、というのが日本人の一般的な感覚だろう。しかし、メキシコではそれこそ無数の具材を組み合わせでタコスが存在している。タコス協会・理事の吉川孝一郎さんによると、トルティーヤはいわゆる日本のごはん(お米)のようなもので、おかずを食べるための主食として楽しまれているのだという。現地では、子どもをもつ親が子どもの成長を願って、決まって言うセリフが「子どもの間にタコスを7つ食べないと大きくなれないぞ」なんて言葉があるほど、生活に密着した食べ物なのである。タコスという言葉も料理名ではなくて、スタイルそのものを指す言葉で、その楽しみ方は無限大だ。
メキシコのタコスはとうもろこしを煮る時に石灰処理という工程を経る。これは石灰のアルカリでとうもろこしの皮をやわらかくする効果があると言われているが、この工程こそがバランスの良い栄養をもたらす秘訣。事実、他国で石灰処理を行わずトルティーヤを作っていた地域では、栄養が偏って皮膚病が蔓延したという歴史もあるのだとか。まさに、メキシコの知恵が詰まった国民食なのである。
メキシコの多様なるタコスの種類
前述したように、タコスは何でもアリ! でも、現地の人たちが愛してやまない定番のタコスももちろんある。ここでは、日本ではあまり見かけない本場の人気タコスを紹介していこう。
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カルネアサーダ
小さくカットした牛肉のサイコロステーキとハーブなどと一緒に。メキシコでは最もポピュラーなもので、どのタコス屋に行っても出合えるメニューだ。
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カルニータス
カルネアサーダと人気を二分する定番タコス。豚肉を細長く裂いたものに玉ねぎやパクチーなどのハーブを盛ったもの。
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アル・パストール
日本でも良く見るドネルケバブのように、豚肉を回転させながら焼き、薄く切って盛ったらパイナップルをトッピングする。回転式の調理法はレバノンの移民が伝えたものだという。
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肉以外
エビや豆、チーズ、キノコ、サボテンなど、様々な具材を組み合わせたものも人気。こってりとした肉系とうって変わってさっぱりしたものが多い。
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フィッシュ系
魚を使ったタコスも忘れてはならないだろう。気候風土などでいちばん地域色が出るのはこのフィッシュ系。例えばバハ・カリフォルニアが起源のタコス・デ・ペスカードでは白身魚のフライを使う。
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朝食向け
メキシコでは、タコスを食べる時間帯によって具材のイメージが変わるという。朝食用なら、たまごとジャガイモ、豚の皮を揚げたものをサルサで煮込んだものなどが人気。他にも、スクランブルエッグにベーコンとアスパラを合わせたものなど......。
サルサって、実はこんなに豊富なんです。
日本でサルサと言えば、トマトがベースのピリッと辛いものが一般的だが、タコス同様、サルサだって本場メキシコでは数多くの種類がある。ちなみに、サルサ=ソースという意味なので、サルサソースという表現は間違いだってこと、知っていました?
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サルサ・ロハ
メキシコ料理をはじめ、アメリカ南西部でも使われることが多いソース。トマト、唐辛子、コリアンダーなどを使って作られるド定番のソースで、メキシコ国内どこに行ってもコレは見かけるだろう。
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サルサ・ベルデ
目にも鮮やかなトマティーヨを使ったグリーンのサルサ。緑唐辛子を辛味として使うので、赤唐辛子を使ったものよりも辛いとされる。
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サルサ・クルダ
日本でもお馴染みのサルサと言えばコレ。生のトマト、玉ねぎ、唐辛子、コリアンダーを刻んで混ぜたもので、メキシコ国旗と同じカラーリングであることから。サルサ・メヒカーナとも呼ばれる。
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ピコ・デ・ガヨ
サルサ・クルダの別名としても使われるが、時に桃の果実を刻んだものやオレンジなど、少し違った風味にしていることもある。
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サルサ・ランチェラ
トマト、玉ねぎ、ニンニク、唐辛子を煮込んで作るサルサで、牧場のサルサという名前をもつ。卵料理であるウエボス・ランチェロスには欠かせないソースとして親しまれている。
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ワカモレ
ワカモレ=サルサという概念はあまり浸透していないが、これもサルサのひとつ。日本で見る食べ方と一緒で、トルティーヤチップスと一緒に食べるのが定番。
教えてくれたのはこの人!
タコス協会 理事
吉川孝一郎さん
小学生の頃に初めて出合ったタコスに衝撃を受け、齢10歳にしてタコスにドハマリ。父の営む中国料理店などで料理の基礎を学ぶが、旨いタコスをもっと知ってほしいという思いが止まらず、タコス協会に参画。また、タコスフェスなどのイベントも計画中。