株式会社日清製粉グループ本社(社長:正田 修)では、食欲の秋を前に「食のプロに聞いた 日本の旬」アンケートを実施しました。このアンケートでは、食関係の仕事(*)に従事する“食のプロ”の方々男女339名(有効回答)が回答、このほど集計結果 がまとまりました。
アンケート結果から、食のプロが選んだ日本の旬の食材は、春“筍”、夏“鱧(はも)”、秋“松茸”、冬“大根”となり、日本の旬の味覚をプロの回答から再確認した結果 となりました。*調査概要参照
昨今、食品加工、冷凍技術、流通の進歩や食材の国際化など、私たちの食を取り巻く環境が大きく変ってきています。よって、季節を問わずほとんどの食材がスーパーなどで簡単に手に入れることが可能となり、「旬の食材」という意識が薄れつつあります。アンケート内でも7割以上の方々が「旬そのものが希薄になりつつある」と回答されています。このような現状をふまえ当社では"旬"と"食"を再認識すべく、アンケートを実施した次第です。
「秋の旬」部門では、第1位松茸、第2位さんま、第3位きのことなり、日本の秋の味覚の王者として松茸の人気を裏付ける結果 となりました。
また、『日本の旬の食材を最も楽しめる都市は?』との問いでは、断然1位で京都となりました。以下、2位 ・東京、3位が同率で石川・北海道になり、意外にも“くいだおれの街・大阪”は5位 内にも入りませんでした。これは、“旬の食材”がテーマであったためと考えられます。日本伝統の食文化という意味で、古都京都が季節を食に取り入れるということで圧倒的に支持されたようです。さらに京都を上げた方々に『京都で一番おいしいと思う旬の食材は?』との問いでは、京都の“鱧(はも)”“賀茂茄子”“松茸”“筍”が上位 を占め、まさに“旬の都・京都”といった結果になっています。
アンケート調査結果概要
- 日本の旬は、春“筍”・夏“鱧”・秋“松茸”・冬“大根”
- 日本人の「食材としての旬」の感覚が希薄になりつつある:
YES72.6%、NO17.7% - 日本の旬の食材を最も楽しめる都市(地域)は断然1位が京都・ 2位東京・3位石川&北海道
- ■回答者属性
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調査期間 :2001年8月20日〜8月31日 調査方法 :アンケート用紙を郵送 応募総数 :339名 有効回答数 :339(男性108名/女性231名) - ■回答者職業:
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料理研究家 98名 料理研究主宰 29名 経営コンサルタント(飲食店など) 40名 フードコンサルト 31名 料理担当編集者、ジャーナリスト 56名 フードカメラマン・写真家 34名 栄養士 18名 その他 33名
●日本の旬は、春“筍”・夏“鱧”・秋“松茸”・冬“大根”
■質問:日本の「旬」の食材と言えば、あなたは何をあげますか?
各季節ごとに、ひとつ、ご記入願います
- ◆春の食材ベスト3
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順位 食材名 回答数 1位 筍 207 2位 菜の花 27 3位 山菜 21 - ◆夏の食材ベスト3
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順位 食材名 回答数 1位 鱧(はも) 45 2位 なす 44 3位 枝豆 39 - ◆秋の食材ベスト3
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順位 食材名 回答数 1位 松茸 153 2位 さんま 69 3位 きのこ
*松茸以外57 - ◆冬の食材ベスト3
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順位 食材名 回答数 1位 大根 78 2位 カキ 48 3位 白菜 39
《概要》
各季節を代表する「旬」の食材を尋ねたところ、春は筍、夏は鱧、秋は松茸、冬は大根がそれぞれ1位 に選ばれました。4位以下には、春はふきのとう・いちご・よもぎ・鯛、夏はうなぎ・トマト・みょうが・鮎、秋は栗・さつまいも、冬はブリ・カニ・フグなどが選ばれています。
また、旬の食材を使った料理でお勧めのメニューを尋ねたところ、秋の食材は和食では、松茸の土瓶蒸し・松茸ご飯・焼き松茸・さんまのにぎりなどがあげられ、イタリア料理では、きのこのパスタ・フンギ料理・チキンと椎茸のサラダなどのメニューがありました。
●日本人の「食材としての旬」の感覚が希薄になりつつある:
YES 72.6%、NO 17.7%
■質問:日本の「食材としての旬」そのものが希薄になりつつあると言われています
が、このことについて、どう思われますか?
回答 | 回答数 | |
その通りだと思う | 246 | (72.6%) |
そうは思わない | 60 | (17.7%) |
どちらでもない | 33 | (9.7%) |
合計 | 339 | (100%) |
《概要》
「食材としての旬」そのものが希薄になりつつあると思いますかという問に対して、「その通 りだと思う」と答えた人は全体の7割以上となっており、日本人の食材に対する旬の感覚が失われつつあると感じている人が圧倒的に多いという結果 になりました。その理由としては、「冷凍食品やハウス栽培、輸入食材の増加に季節を問わずにいろいろな食材が手に入るようになった」、「生産者・販売者・消費者の三者が旬の先取りに価値を置きすぎる」などが挙げられています。
また、旬の感覚が薄れていることについて、「食文化が簡易化・画一化してきている」、「栄養面 を考えるとどうかと思う」という意見のほか、「日本人のアイデンティティの低下につながる」、「感性が貧しくなった」など、食文化の変化が人に及ぼす影響を危惧する意見も見られます。
一方、「そうは思わない」と答えた人も17.7%おり、その理由としては「都市を離れれば旬はまだ存在する」、「旬を大切にする人とそうでない人がいる」という意見が見られます。
●日本の旬の食材を最も楽しめる都市(地域)は断然1位京都
2位東京・3位石川&北海道
■質問:「食」の面から日本の旬を最も楽しめると思われる都市(町)を一つお答えください。また、理由があれば一筆お書き添えください。
順位 | 地名 | 回答数 | |
1位 | 京都 | 165 | (48.7%) |
2位 | 東京 | 51 | (15.0%) |
3位 | 石川 | 18 | (5.3%) |
3位 | 北海道 | 18 | (5.3%) |
5位 | 富山 | 9 | (2.7%) |
*質問では都市名または町名を尋ねていますが、京都・東京・北海道など地域名で答えた方が多かったため、順位 は都道府県名で出しています。
《概要》
日本の旬を最も楽しめる都市(町)を訪ねたところ、順位は第1位が京都、2位 が東京、3位が同率で石川と北海道という結果になりました。全回答者の約50%が京都を挙げていることから、旬の食材を使った食文化が根づいているということに関しては、圧倒的な差で京都が支持されていると言えます。また、京都を選んだ理由としては、「露地物の京野菜はその時にしか出てこない」とか「市場や街、料理屋で旬を大切にしているという感覚が感じられる」という理由が挙げられており、京都では旬の食材が充実しているだけでなく、料理人・生産者・消費者など街全体で旬の食材を大切にする食文化を築いていると感じている人が多いことが分かりました。
また、2位にランクインした東京を選んだ理由として「マーケットが充実している」とか、「良質な食材を入手できるルートが確立されている」など、市場や流通 面の充実を理由に挙げた人が多く見られました。3位の石川と北海道は、"函館のカニ"、"金沢のぶりや鴨を使った伝統料理、"など具体的な旬の食材を理由に選んだ人が目立っています。また、6位 以下は、回答にまとまりがなく、大阪、福岡のほか、山形、仙台、鎌倉市(神奈川)、木曽(長野県)、豊岡(兵庫県)、尾道(広島県)、長崎、鹿児島、沖縄などが日本各地の地域が挙げられていることから、日本のいろいろな地域で旬を大切にする食文化を築いている